ゼミ生からムビナナの応援上映(発声OK)に誘われて行った話
ゼミというものがよく分からないでいる。
分からないままなんとなく運営している。
私の出身大学の学部(コース)に指導教員はいたが、ゼミはなかった。
たまに個別指導を受けに行くだけだった。
なので『ゼミで飲み会』『ゼミ合宿』『ゼミでバーベキュー』といったお楽しみ会的なものをした記憶がない。
職業柄、ゼミ配属によって学生と学生、学生と教員の距離感がバグり、おかしなことになってしまう例を色々と見てきた。そういうのは苦手だしやらかしたくもないので、私のゼミは基本的に「個人主義」を掲げている。
もちろん学生たちが仲良くなってくれたら嬉しいが、そのためのお膳立ても特にしていない。まあ13名もいてみんな何かしら好きなものがあるため、各々気が合う相手(ジャンルの近いオタク)と仲良くしている印象である。
そんなゆるゆるなゼミなので出席率は毎回6割くらいなのだが(それもどうなのだろう・・・)、学生には毎回近況報告をしてもらっている。
突然ムビナナに誘われる
前置きが長くなったが、『ムビナナ』をご存じだろうか。
ムビナナとは『劇場版アイドリッシュセブン LIVE 4bit BEYOND THE PERiOD』(げきじょうばん あいどりっしゅせぶん らいぶふぉーびっと びよんど ざ ぴりおど)のことである。
突然そんなことを言われても戸惑うと思う。
もう少し説明すると、バンダイナムコオンラインが提供するスマートフォン向けアイドル育成ゲームが『アイドリッシュセブン(通称アイナナ)』であり、そのアイドルたちが3DCGの姿でライブを繰り広げる映画が『ムビナナ』である。
『ムビナナ』は2023年5月20日から上映開始、興行収入25億円超えで8月末に至る現在も上映が続いている。
私はといえば、Twitter(X)のTLで受動喫煙はしていたが、実際にアイナナおよびムビナナを見たことはなかった。しかし確か5月頃から、ゼミの近況報告でとあるゼミ生が「ムビナナに行きました」と言い始めた。
別にそれだけならふつうの近況報告なのだが、そのゼミ生の近況報告はそこから毎週「ムビナナに行ってました」になった。まあ、同じ映画を何度も見るのはオタクあるあるだ(私もハイローは応援上映含めて何回も通ったし、SLAM DUNKの長期上映を見れば分かる)。
オタク向け興行にありがちだが、特典が週替わりらしく、特典が変わるたび推しを自引きするまで通っている、とのことだった。まあそれもオタクにはよくある行動なので、弊ゼミではさらっと流されていた。
一度、「そんなに何度も映画に通うよりもメル●リで買った方が安上がりなのではないか」と提案したところ、「私の推しを出品してる奴らなんかから買わないですよ!!」と推しへの愛を叫ばれた。なるほど、私の心が高度資本主義に汚れてしまっているようだ(しかしその後、1日で特典が枯れてしまったことがあるらしく、「出品してる奴ら全員から買ってやりますよ!!」となっていた気がする・・・気のせいかもしれない)
そんな感じで前期のゼミは終了し、夏季休暇中はお盆明けからぽつぽつ卒研の個別指導をすることとした。
8月中旬、リマインドの連絡をゼミのグループLINEに送ったところ、件のゼミ生から個別LINEで返信があった。
『ムビナナの上映が終わりそうなので、先生と一緒に行きたいです!』
もう一人のゼミ生と3人でムビナナに行きたい、という連絡だった。
先にも述べたように、私は割と学生と距離を詰めることに慎重である。
少々悩みつつ、とりあえず返事をした。
『キンブレもっていった方がいいですか?』
終わらない、入門の履修
学生との距離感云々より、それほどゼミ生を熱くさせているコンテンツである『ムビナナ』への好奇心が圧倒的に勝ってしまった。
私は何かに異常なほどドはまりしている人間を見るのが大好きなのだ。
とはいえ、私は『アイドリッシュセブン』完全未履修である。
アイドル育成系では『うたの☆プリンスさまっ』のアニメは好きで、マジLOVEキングダムは3回くらい行ったし、シャニライ(うたの☆プリンスさまっのスマホゲーム)もリリース当初からインストールしている。ただここ数年ログインしていない。だが初期に課金しまくったため未練がありアプリを消すこともできない。
ゼミ生は布教に命をかけている様子なので「アイナナ知らなくても大丈夫」というスタンスのようだったが、私としてはコンテンツミリ知ら状態で応援上映に行くのは入門の単位をとっていないのに演習を履修するような無謀なものに思われた。
それに、ゼミ生の様子をここまでおかしくさせている男(キャラクター)が悪いやつではないか、指導教員として確かめておきたい気持ちもあった。
あと、初めて行く場所で恥をかきたくないし、なんなら可能な限り楽しみたい。たとえ仕事が立て込んで遅れ気味であったとしても・・・。
たまたまU-NEXTに契約しているところだったので、アニメの『アイドリッシュセブン』を視聴することにした。
アニメの『アイドリッシュセブン』は3期あったので少し怯んだが、「まあ、1期13話として40話弱、いけるっしょ」と高をくくっていた。
・・・甘かった、アニメの『アイドリッシュセブン』は1期だけで17話あった。2期は15話、3期は30話あった。
とりあえず最初の3日間で1期を見終えたものの、4日目から右脳のあたりの片頭痛が酷くなり一時視聴を休まざるをえなかった。卒研個別指導の際、そのことを誘われたもう一人のゼミ生に伝えると「えっ、私は”七瀬陸(主人公)”の名前以外何も知らないです・・・」とのことだった。
そんな我々のために誘ってくれたゼミ生はプレゼン資料を準備しているらしかった。卒研より力入ってるな。
実は私がつらかったのは、アイナナの量以上に内容だった。うたプリ感覚(トンデモ面白アイドルアニメ)で気軽に見ようとしていたのだが、アイナナはなんというか・・・結構重たいのである。
基本ストーリーは男性アイドルグループ”IDORiSH7”の成長譚なのだが、個々のメンバーの過去や複雑な家庭環境、グループ同士の確執、芸能界の闇、そこにファンの言動も絡んできて、ぎすぎすして・・・みたいな。
若い頃だったら絶対好きなやつなんだけど、若く一生懸命なアイドルたちがときに理不尽ともいえる逆境に巻き込まれる様子を見守り続けていると、四十路の胃はけっこうもたれる。家主のストレスを察知してか、アイナナを視聴し始めてから家の観葉植物が枯れた(アイナナのせいにするな)。
2期でRe:vale(リヴァーレ)という優しくて明るいユニットが出てきてめちゃくちゃ救われた。しかし3期になると「Re:valeもアイナナを裏切ってんちゃうか・・・!?」と疑うようなことが起こり、さらには仕事が追いつかず結局3期7話まで、23話を残してタイムアップとなった。
ŹOOĻ(ズール)の名前と顔一致してないけど大丈夫かな、単位とれるかな、とか思ったけど、ムビナナのプレイリストがAppleMusicにあったのと、ゼミ生がプレゼン資料を作って送ってくれたのでなんとかなった。
ちなみにゼミ生の推し(TRIGGER(トリガー)の八乙女楽)はすごく気持ちのいい男だった。なるほどこの男にならゼミ生をまかせても良い(謎の感情)。ただ主人公(ヒロインの方)にモーションをかけるところがプロ意識に欠けるのではないか、と少々気になった。
その点で「ファンが恋人」と言い切る九条天の方に私は好感を持った。
いざ、映画館(朝8時台)へ!!
ゼミ生『すみません、朝めちゃくちゃ早くてもいいですか!?』
わたし『いいですよ』
ゼミ生『じゃあ8時台ので・・・!』
わたし『お、おう』
ムビナナは5月から上映しているので、どこの映画館もだいたい朝いちとか夜だけしかやっていない。1限よりも早い時間から学生と会うというのもなんだか変な感じだ。
しかもなぜか上映20分前集合だった。遅刻を懸念されたのかもしれない。
そういえば、行きの電車でTwitter(X)で検索していると、手持ちのキンブレをBluetooth接続でムビナナ用にカラーチューニングするためのQRコードを配布してくれている人がいることに気づいた。そうだ、このキンブレそれができるんだった、使うの久々すぎてすっかり忘れていた・・・
しかし平日朝の通勤ラッシュのなかでキンブレを操作するのは難しく(平日朝以外でも難しい)、こういうのは本来家でゆっくり調整するものであって、映画館についてからやろうとしたけど遅かった。
集合したところ、もう一人のゼミ生はアニメのアイナナを完走してきたらしかった。そんな、先週私と話した後で、追いついて追い抜かした・・・だと・・・!?
こういうときのオタクの行動力ってすごい。若いってすごい。
入場特典で種村有菜の描いたアイナナ漫画の冊子をもらう。初期の特典だったらしい。ありなっちの絵柄は綺麗で好きなので、得した気分だ。
いまいち光が弱い気がしたのでキンブレの電池を入れ替えた。上映中につかなくなったりしたら集中できなくなるからだ。そうして上映が始まった。
「東映ありがとーーーーー!!!!!」
「バンダイナムコありがとーーーーーー!!!!!」
これは東映およびバンナムのロゴが出たときの客席からの応援である。朝早くからみんな元気だ。
さて。久々に応援上映を体験したが、とても楽しめた。
曲を履修していったのでだいたいの色と振りどころは分かるし、何よりキャラクターの動きやMCが非常にリアルに作り込まれている。
同じ振付でも個々で個性が出ているのが面白いしカッコいい。
MCで誰かと誰かの発言がかぶりそうになったり、きっちりとはそろわなかったり、変な間があったりするところなども、非常に現実のライブっぽい。
あと、キャラクターが片方アップにするヘアアレンジがとても好きなので、そのあたりも性癖に刺さった。
舞台上の特効(特殊効果)なども、うたプリだと「現実にはそれはねえよ」というくらいトンデモなのだが、アイナナはほどよくリアリティがあってこれはこれで良い。
なにより、葛藤やぎすぎす感など微塵も感じさせない、爽やかな雰囲気に終始癒された。やさしいせかい。
アイドル達が「ありがとー!!!」と言ってくれるのが嬉しくて、私も自然と「ありがとー!!!」と声に出して返していた。
隣のゼミ生のペンラはキレッキレだった。特にTRIGGERのとき。
セトリ違いのDay1も見ようかな・・・
そのくらい魅力的なライブだった。ありがとうアイドリッシュセブン。
回帰するオタク
見終えてまず思ったこと。
Re:valeが優勝では??
もう途中からピンク(百)しか振ってなかったよ、私。
二人ともかわいい。お互いへの感情がでかい。
あと、2人しかいないから視線で追いやすいのもポイントである。
そしてアイナナ見始めてから無性にアイドルを育成したくなり、数年ぶりにシャニライにログインした。
アイナナではプレイヤー=マネージャーという設定なのだが、シャニライではプレイヤーがなんなのか未だによく分からない。ファンなのかスタッフなのか壁なのかもよく分からない。
そして私は気づいてしまった。
東京では昨年9月に公開された『うたの☆プリンスさまっ スターリッシュツアーズ』がまだ上映されていることに・・・
おそらく私は近いうちに、再びキンブレを携えて早朝の映画館に行くことだろう。
そして8月末で上映終了か?と言われていたムビナナは、9月末まで上映されるようだ。
興味のある方は、ぜひ体験していただきたい。
追記:アニメのアイナナの続きを見た。Re:valeの過去回想が良過ぎてなんかもう・・・尊いとしか言えない・・・
ムビナナでもスタッフへの感謝を忘れない百の謙虚さにぐっと心臓をつかまれたのだが、千の百への想いも相当に重たくて最高だった。早くもう1回ムビナナに行きたい。
追記2:その後の続編はこちら
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