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9割の人(短編集)

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短編を集めました。
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朝の散歩

朝の散歩

通勤が無くなったら吹き出物が出てきた。
医者に行っても化膿止めと抗生物質しかくれない癖に、治ったと思ったら次が出てきてきりがない。
要は運動不足なのだろうと考え、朝の散歩を始める事にした。

家を出て、特に目的地もなくぶらぶらと歩いていくと、雑木林の辺りでヒヨドリが私に鳴きかける。
「奇異奇異、奇異奇異」
私はそんなに奇異だろうか。
もう少し行くと足元からコオロギが呼びかける。
「殺せ殺せ」
流石

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ホタル舞うアメの日

ホタル舞うアメの日

丘の上…彼女に…もう、自由だ…伝えてくれ。
土砂降りの雨の音にかき消され、声が聞こえにくい。 目の前にいる人間の顔が見えないほどの雨。
「ナタキ、警邏の時間。」
「…んん」

 部屋の中央に設置された冷石から放たれる冷気により、心地よい温度を保った室内でナタキは転寝をしていたようだった。 うすく目を開けると、外は暗くなっていて、いつの間にか光石の外灯がついていた。 ナタキは同僚に起こされて、いささ

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9割の人

9割の人

「なんで俺は凡人なんだろうな?」
「確率の問題っしょ。」
山崎の疑問に、岸田が即答した。
「確率?」
「うん。」 岸田は頷くと、目の前に置かれたファミレスの薄いオレンジジュースをストローでかき混ぜた。 氷がカラカラと涼しげな音をたてる。オレンジジュースは果汁100%に限るのだが、ドリン クバーなので仕方がない。
「春色苺パフェになります。」
店員が笑顔で山崎の前に苺パフェを置いて去っていった。 山

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青い小鳥

青い小鳥

僕はいつだって恐かった。
兄さんはとても賢くて、でも、理解できない人で。 僕は逆らえずに、いつだって黙って従っていた。 本当に嫌でも、何も言えずに兄さんの言うとおりにしていた。 兄さんは、別に僕を蹴ったり殴ったりして、傷つけたりするわけじゃない。 ただ、僕に、「あれをしろ」「これをしろ」という。 何か皆に言われたくないことを兄さんが知っているとか、そういうことでもない。 兄さんが兄さんだというだけ

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