マガジンのカバー画像

kaleidoscope

11
いつか小説になるかもしれない小話
運営しているクリエイター

#散文

だーくひーろーのはなし。

 むかしむかしあるところに、おとこのこがいました。
 たいそうくるしいめにあっている、おとこのこでした。
 おとこのこは、いつも、からだじゅういたくないところがありません。
 おとこのこは、とてもせまいへやから、でたことがありません。
 なぐられることと、ののしられることのほか、なにもしらないような、おとこのこでした。
 くるしいことしかしらないおとこのこには、けれどそれでも、いっしょうけんめいい

もっとみる

トライ・アンド・エラー

  昼下がりに兄と一緒に散歩していた。

 すると、視界の端に、トラックに轢かれそうな少女が見えた。

 ――見えたので、おもいっきり少女を突き飛ばし、トラックの間に滑り込む。

 自分の体が、大きな衝撃とともに吹き飛ばされるのを感じ取った。

 中空に放り出された僕の視界には、真っ青なパーカーを着た兄が、悲鳴を上げるのが見えていた。

 まぁ、どうでもいいことだ。

 どうせいつもの、ことなのだ

もっとみる