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一年間苦しんだ娘は、「幼かった自分との約束」を守る強さを身に付けました。

こんにちは。笹井純子です。

今日は以前書いたエッセイを紹介させていただきます。
これは昨年まるっと一年間、心身共にヘトヘトで高校を休学していた長女のことを書いたものです。今は休学以前以上にきらきらしていています。

昨年会えなかった友達に、みんなが受験終わった3月中旬から毎日のように会っていて「青春を取り戻している!」とか(笑)こんな日が来てくれるなんて、一年前は微塵も想像できませんでした。

本当に大切なものに気付き、それに蓋をするのではなく、エネルギーを注ぎこむ…自分に偽らないことで、また新たなエネルギーが湧いてきているように感じます。


先日もそんな娘のこと、そして母からの手紙をnoteに載せてみました。



そして、前置きが長くなりましたが、改めてここからは以前書いたエッセイです。読んでいただけたら嬉しいです。長女の成長記録です。



自分との約束

「デザイナーになりたい」―長女が卒園アルバム、そして1/2成人式で色紙に書いた自分との約束だ。

娘は幼い頃から絵を描くのが大好き。とにかく、描けるものがあれば何だって描き、それをせっせと家族にプレゼントしてくれた。しかもその絵、親バカだがわりと上手い。実際、こんなこともあった。保育園のお迎え時、「絵がとてもかわいいので、コピーをして夕方みんなで塗り絵にしていたんですよ。」と。

小学生になると、洋服のデザイン画を描くようになった。どんな人が着て、素材は○○、と細かな設定まで書き込まれていた。子供の自由な発想は見ていて楽しかった。

こんな風に、娘は素晴らしい感性を持っている、と思う。少なくとも親よりはずっとずっとある。でも大きくなった今、それらを「才能」と言うと本人は怒る。なぜなら陰で人一倍頑張っているからだ。独学なので未熟なところもあるだろう。だけど、何度もデッサンをし、色を研究し、表現の幅を広げてきた。好きなことに関しては、徹底的に頑張る「努力の人」なのだ。

だが、中学生になり大きな挫折を味わった。「出る杭は引っ込んで」と言わんばかりの先生の対応に、自分に自信が持てなくなった。そして、半年間の不登校を経験した。その時に助けてくれたのは絵だ。学校に行く代わりに毎日何枚も絵を描いた。夢中になれる時間は、一旦嫌な世界から逃げることができた。そして、心身を存分に休めたことで、少しずつ力が湧いてきた。彼女にとって、「絵を描く」ことは、自分のエネルギー源なのだ。

そんな娘は、興味あることには没頭する性格のおかげで、半年間の不登校を経験しながらも、勉強も頑張った。無事、憧れだった高校へ入学できた。地元では屈指の進学校であり、忙しくも勉強や部活、行事など楽しく頑張っている様にみえた。本人も有意義に過ごしていると信じていた。でも、本格的に進路を決める時期になると、少しずつ何かがズレてきた。勉強も頑張っている、真剣に先の進路も考えている。その為に今目指している大学へ向けて頑張り続ければいいのだ、そう信じていた。でも、やればやるほど、どんどん歯車がズレていく。この違和感は何?

ここで2度目の大きな挫折を味わう。今回は相当重症だ。このモヤモヤした気持ちの悪さの正体がわからぬまま、それはどんどん膨れ上がり、まるで風船が割れるように、パンっと弾け、その瞬間エネルギーはゼロになった。そして1年間休学することを選んだ。

しばらくは何も手につかなかった。人が変わったように何もできなくなった。代わりにそのイライラを家族にぶつけることも多くなった。どうすればいいのか、私も途方に暮れた。だが、数か月経ち、少しずつだが日常を送れるようになった。そして、恐る恐る2年ぶりに絵を描いてみた。「勉強しなければいけないから」と高校に入って無理やり封印してきた「大好き」だった絵だ。最初はまだしんどくて、ずっと絵に向かえなかった。でも、描いているうちにどんどんのめり込んだ。すると描く度に心と体にエネルギーが満たされていくように、元気を取り戻していった。それは元に戻ったのとは違う。新しい自分に生まれ変わったのだ。

今まで周りの価値観に合わせ、好きなものを見ないようにしてきた。でも、それはとても苦しいものだと気付いた。もちろん、自信があるわけではないが、絵を描いている時のわくわくする気持ちを大切にしたい、そう自分で決断できた。暗闇を彷徨ってきたけれど、進むべき道が見えたことは小さな希望の光なのだ。

「小さい頃、デザイナーになりたいって言ってたけれど、いつからか勉強できることが正しいと思うようになった。でも、やっぱり絵が好き。デザインが好き。結局、遠回りしたけど、元に戻ってきたみたい。」と微笑む。

幼い頃の自分との約束、今は守りたいと思える強さを身に付けたあなたは最強だと思う。


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