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X子さんの心的外傷ストレス障害(PTSD)とは
X子さんの心的外傷ストレス障害(PTSD)とは、どういう病気なのか。多くの人は、PTSDという略語を聞き知っている。が、この病が深刻な病であることを知らない人が多い。
そこで、心的外傷ストレス障害について少しだけ述べてみたい。
死に至るような恐怖、衝撃的な体験をした場合、この心的外傷ストレス障害を発症する。
では、どのような主症状なのであろうか。
①再体験化(フラッシュバック)
②悪夢
③回避症状
④過覚醒症状
①は、聞いたことがある人も多いだろう。恐怖体験がある日、ある時、あたかもフラッシュバックするように再体験化(脳の中に蘇る恐怖)するのである。このことで日常生活に支障が出てくる。
②は、しばしば悪夢、中途覚醒に悩まされ睡眠障害が生じる。
③は、加害者とワインを飲んたことがあれば、そのワインを避けるようになる。加害者映像が放映される可能性があるテレビを避けるようになる。加害男性と似たような男を見かけたら、逃げるようになるなどである。
④は、神経がピリピリするようになる。イライラ、不安が強くなり、ちょっとした物音、匂い、色、光、人の声に過剰に反応するようになる。
こうした症状が数カ月から生涯に渡って生じるのが「心的外傷後ストレス障害(PTSD)」である。
X子さんのPTSDの背景には、常軌を逸した恐怖体験(性加害)があったことが想定される。
数日前、X子さんのフォト・エッセイが発売された。SNS上には、「PTSD詐病だろ。エッセイ書けるわけないじゃん。」などと、PTSDをまったく理解していない書き込みが散見される。これは被害者の心の傷に塩を塗り込む加害行為である。この加害行為が、2次的PTSDを発症させることもある。許されない行為である。
現在X子さんは、PTSD治療中であると推測する。その治療に当たっては、医師から自分の気持ちを文章化(外在化)することが回復に効果があると助言されているかもしれない。また、認知行動療法、脱感作・再処理法(EMDR)、薬物療法が採用されている、と予想する。
フォトエッセイの読者は、以上のことをご理解いただきたい。
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