鍋の野菜は、こっそり残しておくのが、私のお楽しみ。
鍋を作る時、私は野菜を多めに切るのが好きだ。
ああ、腹一杯になるだろうなぁ。
こんなには、食べられないよなぁ。
そんなことを考えながら、まな板に白菜を乗せては切り、椎茸を手に取っては軸を取り、にんじんを握っては皮をせっせと剥いていく。
台所にぎっしりと並べられた野菜を、端から片付けてボウルの上に乗せていく作業は、たまらなく楽しいものがある。その片隅にビールがあると、なお、仕事が進むのだが、それはまた別の話。
私は家族に「鍋の材料、追加で入れる?」と、さもおかわりをさせたいと言う風に尋ねながら、頭の隅では野菜が残るといいなぁなんてことを考えている。
🥬🥕🍄
「お母さん、おなかすいた〜。昼ごはんな〜に?」
日曜日の昼、少し前。息子たちが尋ねてくるので、私は冷蔵庫を開けた。
冷蔵庫には、昨日の鍋で使う予定だった野菜が残っている。
白菜とにんじん。
「何食べたい?」
私が尋ねると、次男が「焼きそば食べたい」と言った。
「いいねぇ(白菜もにんじんも使えるぞ。しめしめ)」
私は顔をほころばせながら答えた。
冷蔵庫からチルドの焼きそば麺も取り出す。しかし、この焼きそば、実は我が家向きではない。
我が家の家族は、合計4人。袋に入った麺は3玉分。少し足りんなぁと、私は思う。子どもが小さい頃は、この3玉にたっぷりの野菜を入れて、4人で仲良く食べていたけど、どう考えても今は3玉では少なすぎる。よく食べる夫に、高校生と小学校高学年の男子学生2名。私の分までは、麺の一本も回ってこない。しかし、私には残り物のイワシ缶のトマト缶煮がある。今日のところは問題なし。
お皿に乗っている食べ物は私だけ違うけれど、使っている野菜は昨日の鍋の残り物。昨日一緒につついた鍋のおかげか、野菜たっぷりのスープのおかげか、おなかも心も大満足の昼食となった。
イワシ缶のトマト煮