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詩|fastener
開ける以外に道はない
一縷の望みを賭けて
上から下へと動かした
遠慮のない
老いぼれだと思われたに違いない
かなぐり捨ててでも
希望を残すには選択肢がなく
悔しいけれど
決別が必要だった
ここから先に進むには
ささやかなプライドは
処分しなければならない
すべからく
世間に反旗を翻すべきで
そうしなければ
立ち尽くす未来しかない
力なく
つまむ
手の震えが
止まらない
ナニモノか答えはアルのか
ニセモノではナイだろうね
ぬらりと向こう側から
猫の目のようなナニかが
覗いた気がした
ハッキリ言って
一筋縄ではいかナイよ
フツウでいたけりゃ
ヘンカなんて求めるな
ホンキでなけりゃ
またいではならぬ
ミライなんてコトバに
無垢なヤボウを預けるな
目の奥を覗かれて
もはや向こう側への
野望は打ち砕かれようとしている
勇気などという
邪な憧れでは飛び込めない
埒が明かない
理想は捨てると決めたはずじゃないか
ルーラなんか使えやしないし
レアアイテムも持っていない
老朽化した夢なんか捨てて
沸き立つ今この瞬間の
ヲモイだけを信じて
向こう側へ飛び込む「ん」だ