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カップ焼きそばの作り方_43歳の一般人編

「まずは」と私は重い重い腰を上げる。

思い返せばこの重い腰肉は、いつ頃から腰巾着のように私に張り付いているのだろうか。いわゆる浮き輪肉。腰についた浮き輪肉のせいで、私の体は重いのかもしれない。

とはいえ、意外や意外。食事の用意をする時ばかりは、この浮き輪肉は文字通り浮き輪のように私の体を軽くしてくれる。

フットワークならぬウエストワークは軽く、軽い腰どりで私は部屋を練り歩く。それはまさにモデル歩きである。くねくねと腰をくねらせるその姿は、さながら焼きそばの麺のようであった。

そう、私は今からカップ焼きそばを作るのだ。

まずは何からすべきだろうか。
選択肢は二つ。
① お湯を沸かす ② カップ焼きそばを開ける

当然答えは③だ。

まずは冷蔵庫から冷えた缶ビールを取り出し、グラスに注ぐのが先決である。
私は冷蔵庫から冷えた缶ビールを取り出し、グラスに注ぎ、ぐびっと口にビールを流し込む。

「うむ。今日もうまい」

ビールが美味いかどうかは、今この瞬間の健康のバロメーターとなり得る。体調が悪ければ美味しくないし、精神状態が健全でなければ美味くもない。
今日の私は健康体であり、ビールを飲むにもカップ焼きそばを作るにも適した体だと言えるだろう。

私はヤカンに水を入れ、お湯を沸かす。
その間にカップ焼きそばに巻かれたビニルの包装を乱雑にビリビリと破った。

ぐらぐらと湯が沸くのを待つ間に、ぺりぺりと蓋を半分ほど剥がし、ソースやかやくなどの付属品を取り出す。おっと、今回のカップ焼きそばにはかやくはついていないようだ。取り出したるは、ソースと青のりなどの付属品のみ。かやくはすでに麺と一緒くたに乾燥されているらしい。

ぐらぐらとお湯が沸き、私はカップにお湯を注ぐ。慎重に慎重に注がねば、お湯がカップからはみ出してしまう。そのため、お湯は規定の分量より多めに沸かすのが無難である。

私は今日もお湯をこぼす。

ここが台所でよかったと安堵する。もし、この場所が台所ではなく、ベッドの上やソファーの上であったなら、大惨事である。しかし、お湯はこぼしたものの、さっと拭けばなんてことのない場所であったから、私はお湯をさっと拭いた。

しばし待つ。

待つのは嫌いではない。規定では三分となっているが、私は正確に測らない。チラリと横目に見たデジタル時計の時刻を確認し、大体そこから三分待つ。おおよそ三分で作っても、きっちり三分で作っても大して味は変わらないと考えている。二分半だろうが三分半だろうが、大きく味に変化を感じたことなどない。

しかし、かつて三十分放置した時はさすがに麺がふにゃふにゃであった。待ちぼうけを食らった麺は、途中で「あちち」とその場を離れることもなく、私を従順に待っていたのだ。これほどまでに湯に浸かっていれば伸びてしまうのも当然だ。そのため、私は三十分もカップ麺を待たせないように、その点だけは十分に注意を払いカップ焼きそばを作るように心がけている。

おおよそ三分たったところで、湯切り穴をあらわにし、そしてその穴から湯を捨てる。穴の数は、◯個。気になる方があれば、ご自身で穴の数を確かめてほしい。私は正解を知らないし、湯切りの穴の数を数えたことなど、これまでの人生で一度たりともない。そもそも、湯切りの穴の数など興味もない。

お湯をすっかり捨ててしまうと私はぺりぺりと蓋を剥がし、取り出しておいた付属品を全て投入する。箸で軽快に混ぜ合わせ、そして、どんとテーブルの上にカップ麺を置く。カップ麺の横には当然ビールが注がれたグラスを置く。

私はマヨネーズをさっと上からかけてから、カップ焼きそばの麺をずずずと啜り、ビールをぐびりと飲んだ。



お花の先生であり素敵なお花の生け方を紹介してくださりつつも、私の酒呑み記事にえらく共感してくださる私の心の酒飲み同志である秋峰さんから「君はカップ焼きそばの作り方を説明できるか?」と問われました。

というか、「文豪たちがカップ焼きそばの作り方を書いたら」という本があるらしく、noterさんたちのカップ焼きそばの作り方も読んでみたい!とのこと。

二つ目の記事で文豪たちだったらどんな書き方をするだろうかというのをご紹介してくださっているのですが、「わかるわかる!」「っぽい!」「個性でるな〜、おもろ!」と思いました。

せっかくやし、書いてみる〜と勇んでカップ焼きそばを作って書いてみました。

どうだろう。自分の文章の癖とかよくわからんけど、私っぽいカップ焼きそばの作り方になってたら面白いけど。

ぜひ、みなさんもカップ焼きそば食べて、焼きそばの作り方書いてみてくださ〜い!




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