左右靴下ばらばらだけど、500点獲得。
朝っぱらから息子がゲンナリしていた。
なぜならば、その日は土曜日なのに授業がある日だった。小学5年生の息子は、爽やかな土曜日の朝の空気をぶち壊すほどの憂鬱さをまとって、リビングに登場。
「お母さんの小学生の頃はねぇ、土曜日はいっつも授業やったんやけど」なんて、擦られまくった昔話は口にしない。時代が違うんだから、そんなこと言われても、息子だってどうしようもない。
私だって、職場の大先輩方から「昔は週休一日やったんやけどねぇ。今の人は楽でいいよねぇ。がはは」とか言われたら、間違いなくがっつりメイクの上に、べたっと笑顔を貼り付けなければならないこと必至だ。どうせ貼り付けるなら美容液たっぷりのシートマスクがいい。
「マック買ってきとくけん、頑張って行ってき〜」
私はとにかく宥めるようなセリフを吐いた。
息子を学校に行かせる方法で、手軽にできることと言えば、息子が大好きなマックを買ってくるぐらいしか思いつかなかった。
仕方ないとばかりに息子は学校に行く支度をする。
ランドセルを開けるなり、息子の明るい声が淀んだ空気を吹き飛ばした。
「あ! お母さん! 500点取ったよ!」
息子の手には500点と書かれたテスト。
「500点? すごすぎやろ!」
私は思わず吹き出した。
表は100点満点中98点。裏は50点満点中500点という脅威の点数を息子は叩き出していた。最高記録樹立の瞬間。
二人で500点の答案に沸き立ちながら、息子はささやかなやる気を奮い立たせた。結果、なんだかんだと自分でモチベを上げて、息子は嫌々ながらも学校へ行くことができた。
昼過ぎに「終わった終わった」と華金のサラリーマンみたいに疲れ果てた表情で息子は帰宅。帰ってくるなり、チーズチーズダブルチーズバーガーとポテトMサイズとチキンナゲットを5個平らげると、バタンと床に転がって、愛犬ポッキーと戯れ始めた。
私は息子の足元を見た。
また、左右違う靴下を履いて学校へ行ったらしい。朝からドタバタと何やら探していたのには気づいていたが、原因はこれだったか。
まあ、ちっちゃいことは気にしないことにしているので、これぐらい別に私的にはどうでもいい。
その後息子は、一呼吸置く程度の休憩をして、サッカーのユニフォームに着替えて遊びに行き、そのままサッカーの練習に直行し、夜7時までクタクタになるまで練習をして帰ってきた。
風呂に入る気力も、ご飯を食べる気力も残さないくらいにクタクタになっていて、そのままソファーで眠りこけていた。
おつかれさま。
今日の君は500点満点だったと思います。