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突然の思いつきの登山で教えられた事。

もう外は明るい。

今日は休日。
今朝は奥様が、伊勢神宮にお参りに行っているので、久しぶりで1人の朝を迎える。

実は2時半に目が覚め、SNSをチェックしたりして、うつらうつらしながら起きていた。
周りが明るくなった頃、ふと「そうだ山に行こう」と思い立つ。

ほんの思いつき

ほんの思いつきだった。
1人だと思いついたときにすぐに行動できる。
家族が居るとそうはいかない。
ここ数日新しい事業のことで忙しく毎日過ごしていた。
準備をしなくてはならない事は山の様にある。
しかし、無性に山に行き綺麗な景色を見たくなった。気分転換に山に行ってみることにしよう。

慌ただしく着替えリュックにタオルや水を入れたボトルを放り込む。
「帰りにはどこか日帰り温泉にでも入ってこようかな」
着替えを持つ。
山頂で沸かした温かいコーヒーでも飲もうかと、思い巡らせながら準備をしていたのに出発して車を走らせた時には、すでにその事は忘れていた。

朝の通勤渋滞
「登り始めるのが遅くなっちゃうなぁ」
予定のない休日だが、何となく気が焦ったりする。

奥さんは今頃友達とホテルの朝食を優雅に食べているだろうなぁ。
私は慌ただしく家を出たため、朝飯はまだ食べていない。
山に登る前に、コンビニでおにぎりとサンドイッチそれからエネルギーゼリーを購入。
登山口である薩埵峠入口駐車場に車を滑り込ませる
途中でおもらしをすると困るので(笑)トイレを済ませ、リュックの中身を確認。
途中滑落して一晩山の中で過ごす事になったらこの行動食で足りるかなぁ?

いざ!登山開始

久しぶりの山は優しく迎えてくれた。

お墓の脇の駐車場


最初から急登で心拍数が上がる。
最近の運動不足が祟っている。

少し登ると目の前に綺麗な富士山が見え、右手に駿河湾が広がる。そして梅の花が咲いており、青空に映えてとても綺麗。
初めて登る山への不安と期待に胸がワクワクする。

東海道薩埵峠
梅と富士山



木製のデッキでできた薩埵峠展望台で、お決まりの富士山ショットを撮る。
更に歩くと薩埵峠の駐車場がありそこで無人販売のみかんを購入。
お金を入れてね!と置いてある瓶に200円入れて、美味しそうなのが6個くらい入った袋をチョイス。
そのみかんを買ったことにより、リュックの中が今まで以上に重くなった。



最初は舗装された道路を登って、途中から登山道に入っていく。何しろこのルートは初めてだ。

目指すは、標高707メートルの浜石岳だ。
登山道に入ると急な上り坂。
息を切らして登り瞬く間に汗が吹き出す。
途中でジャケットを脱ぎ腰に巻く。
登山道は木々に囲まれていて、あまり景色は良くない。
上を見上げると小さな雲が浮かんでいる青空が広がっている。
途中で水を口に含み水分補給しながら登っていく。

途中から尾根沿いの縦走路に入る。
道はなだらかな登りで、足が進む。
水分だけではお腹が張るだけなので、薩埵峠駐車場の無人販売で買ったみかんを思い出し、リュックから出しひとふさづつ頬張った。
山で食べるみかんはとてもおいしい思わず顔がニンマリする。

みかん買っといて良かった〜♪

登山アプリでルート確認すると脇道を少し行くと「立花池」という池があると地図上にある。
せっかくだから行ってみよう!とコース変更して脇道に入る。

千古の神秘と幽玄の境地とある

更に分岐に立て看板、「千古の神秘と幽玄の境地、立花池」
これを幽霊(ゆうれい)の境地と読み間違えて、行くのをためらった(冷汗)

立花池
林の先の立花池

静けさの中にその池は有った。
何故かしばらくじっとしてその景色を見守った。

また歩き始めると鳥のさえずり、時折茂みの中からガサガサと音がする。
その度に何か動物が出てくるのではないかと緊張する。さすがに熊は出ないだろうなぁ、鹿かなぁ、いや猿かもしれない、猿はいないだろ?猪かもしれない。
そんなたあいのない事を思いながらさらに登っていく。

歩きやすい登山道
杉林

大チョンボ発覚!

時々浜石岳山頂への距離を表示した標識がある。
あと7キロ、あと3キロ!
もう少しだと思ったその時にあることに気がつく。

10時にZoomでイベントの時の撮影を依頼している知り合いのカメラマンさんと打ち合わせをする事を….。

私より年上の知り合いのカメラマンさんとは何度も打ち合わせスケジュール変更をして、ようやく今日Zoomで話をすることにしたのにだ。

山の中なので電波状態が悪い。
何とか繋がり先方のカメラマンさんが出る。
「すいませ〜ん〇〇さん、私うっかりまた予定すっぽかしてしまい時間が過ぎてしまいました、今山の中なんです」(うっかりにもほどがある、汗)

まだ山頂にも到達していないのに、打ち合わせの時間を40分も過ぎてる。
誤り倒しながら同時に考える。
今から行く山頂からは、歩いてきたルートとは違う登山道で下山すると由比と言う桜海老で有名な漁村に着く。カメラマンはその町に住んでいるのだ。

登山アプリでルートチェック、距離と時間を計算して余裕ある時間を考える。
「15:00頃には着けると思いますのでその頃どこかでお会いできませんか。」(平謝り)

「マスター忙しいからなぁ!と思いながらもZoomの前で待ち構えていたよ!」(更に平謝りの平謝り!)

「いいですよー!全く問題無いです、ねぎぼうずって喫茶店知ってる?そこで会いましょう」

優しいにもほどがある(笑)

ねぎぼうずありがとう!(違うか…。)

快く電話の向こうで私に優しく話しかけてくれる〇〇さん。
心が救われた!
登山再開!

ほどなくして目の前に目の前が開けた!
広い芝生の山頂休憩場所だ!
そ4人の女性がベンチに座って、賑やかに山ご飯を食べていた。
軽く「こんにちは!」と会釈するその女性たちも軽く会釈を返してくれた。
一安心はしたものの15:00の打ち合わせのことで頭がいっぱいになっている。

半分隠れてる富士山バックに、パチリ
ハイキングマップ



目の前には素晴らしい眺望が広がっている。
富士山は頭の上に雲がかかっているが、綺麗な姿だ。
駿河湾は碧く広く、その先には伊豆半島が浮かんで見えた。そして西に目をやるとスタート地点の山とその先の街並み、清水港が綺麗に見えた。

楽しそうに会話する女性たちとは距離を置いて、ディズニーの絵柄がプリントされているレジャーマットを敷いて、その上でコンビニで買ったサンドイッチを口いっぱいに頬張り水で流し込んだ。

スタート地点方向を臨む
駿河湾と伊豆半島

長く感じた下山道

そして下山。
最初の登山計画では、来た道を折り返す、いわゆる「ピストン」で駐車場に戻っり車で帰る予定だった。
当然私の大チョンボによる予定変更で別ルートで下山。

その下山ルートは浜石岳山頂に車でもいける農道が通っている。
早く下山したい為に、そのコンクリートの道を利用して、所々ワープする様に登山道を下っていくのだが、硬いコンクリートがあまりにも長いために膝が痛くなって来た。

後ろ向きに歩いたり、ジョギングしながら下山して、ようやく海が見えてきた。
遂に海沿いの漁村に到着。

舗装路
時々トレイル
ようやく平地
海が見えた!



だが、そこから駐車場に戻るためには5キロ弱の平坦な道を歩き、更に途中で薩埵峠を登らなければならない。
黙々と歩く。
打ち合わせの時間は余裕もってお伝えしたので心には焦りは無い。

このペースで行けば駐車場に戻りそこから車に戻り余裕で打ち合わせの「喫茶ねぎぼうず」まで行くことができる。
無事に薩埵峠を越えて駐車場に戻るその時はその時ポツポツと雨が降ってきた。
車に戻ると開けたドアが閉まるほどの強風だ!
この時間に戻って来れて良かったなとほっと一息。
ビュービューと周りの木を震わせる強風と闘いながら車に戻り打ち合わせをする予定のカメラマンさんに電話をする。
ここから11分で着くことが出来る。
ここで私の今日の休日思いつき登山はフィニッシュを迎えた。

朝突然思い立った登山だが、それにより待ち合わせ打ち合わせのスケジュールをすっぽかしてしまった。(猛反省しております。)

その後そのカメラマンさんの指定した喫茶店に行きイベントでお願いする撮影の件の打ち合わせを顔を突き合わせて話すことができた。

その山を選んだ奇跡

最初はZoomというデジタルオンラインツールを使ったミーティングをする予定だったが実際に顔を突き合わせて話ができた。

お互いの心が通じ合い、打ち合わせも気持ち良く笑顔で話し合えた。
カメラマンさんには今までも大変お世話になっている。イベントではこのカメラマンの方に収益がでる様な仕様にしており、弊社は一円も頂かない事に最初から決めていた。
イベントに花を添えて、参加者が楽しんでくれればそれで良いのだ。

パソコンののっぺりした画面を通して会うのではなく、実際に小さな喫茶店の中で顔合わせて気持ちを話す事ができた事はこの登山を思い立たなければ実現しなかった。
その山ではなく、ただ山に行きたいとの理由で別の山を選択していたら。
今日は会えなかっただろう。

奇跡だ!

そう思う事にしよう。
人と人と実際に会うと言う事。
しかしそれは奇跡では無く「必然」だったのかもしれない。

朝突然思い立ったこの登山、実際に終わってみるとこのカメラマンに直接顔を合わせて話しなさいと言うことだったのかもしれない。
人と会うことの大切さを山が教えてくれた気がした。

感謝!

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