怖い絵
中野京子さんの『怖い絵』を読みました
怖い絵シリーズの1番初めの作品です
以前上野で行われた怖い絵展に行ったのですが、そうやって実物を鑑賞するのと本を読んで解説を見るのとではやっぱり全然違いますね
本だと絵の大きさや細かいタッチが見られないのもあって少し残念でしたが、それをものともしない中野京子さんの解説が圧巻でした
※以下、少しネタバレ風味かもしれません
どれも興味深かったのですが、私が特に印象深く感じたのはクノップフの『見捨てられた街』、ゴヤの『我が子を喰らうサトゥルヌス』、レーピン『イワン雷帝とその息子』あたりでしょうか
一見して怖いのは「我が子を喰らうサトゥルヌス」ですね。喰らわれている子の姿があまりに無惨です
でも、それを書くことでゴヤは地獄を直視し続けた
この作品はゴヤが住んだ家の壁に描かれたものだそうです……。その事実が怖い
こんな残酷で怖い絵を毎日見ていたら、私なら気が狂います。確実に
レーピンの作品は、中野京子さんが読者の感じた奇妙さをぴたりと言いはめてくださっています。ぜひとも実物が見たくなった絵です
我が子を一瞬の怒りに任せて殺してしまった雷帝の、血の気が引くような恐怖が伝わってきます
レーピンはこの絵に政治に対する批判意識を込めたそうです
でもやっぱり目を引くのはイワン雷帝のほうですね。あんなにも恐怖をまざまざと感じさせる絵は初めて見たかもしれないです
クノップフの『見捨てられた街』は一見あまり怖くないと思ったのですが、解説の「扉にノブがない」や「海が侵食しだしている」というのを読んで改めて絵を見るとゾッとする、という感覚でした
見捨てられた街に描かれた館
その中には何が閉じ込められているのか、もしくはいないのか
恐ろしい想像が膨らんでしまうような絵でした
他の作品も、程度や種類は違えど怖さがあるものばかりでした
とても面白かったです
怖い絵シリーズの他の巻もぜひ読んでみたいな