ロバート・コルカー『統合失調症の一族 遺伝か、環境か』は私に一つの答えをくれた
Xで少し話題になっていて、Amazonの評価も高いこの本は、精神疾患に関する私の疑問に、1つの答えをくれた。値段は結構するけれど、読む価値があった。
戦後、アメリカのある一家の10人(!)兄弟のうち、6人が統合失調症と診断され(!!)、その一家が精神疾患の研究にどのように貢献したかが記されたドキュメンタリー。邦題は統合失調症を強調しているが、書かれていることは他の精神疾患にも当てはまる。そもそも精神疾患の診断名の境界線は、とても曖昧だ。
”遺伝か、環境か”というサブタイトルは、まさに私が精神科に通院することになってからずっと抱いてきた疑問であり、私の「どうしてこうなってしまったんだろう」という悲しみと悔しさが辿り着く先だ。
答えはシンプルで、遺伝も、環境も、両方が精神疾患の発病に影響する。精神疾患になり得る遺伝子の特徴は、確かにある。ただその遺伝子の特徴を親から受け継いだからといって、必ずしも精神疾患を発病するわけではない。
精神疾患になり得る遺伝子を持つ人が、特定の環境に置かれたとき、発病に至ることがある。
考えてもみれば精神疾患に限らず、他のどんな病気も同じことが言えるのだろう。癌とか糖尿病とか、遺伝的になりやすい病気があったとしても、発病する人もいればしない人もいる。
分かることで辛い気持ちが楽になることはある。このおどろおどろしいタイトルの分厚い本は、私の悲しみと悔しさを少し小さくしてくれた。