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愛がわからない私が愛に向き合えたライブ -wacci IROAI Tour 2024-

行ってよかった。誰も置いてけぼりにしないライブにしてくれた。wacciは本当にすごい。

10月25日、wacci IROAI Tour 2024 ファイナル公演。

ツアーテーマが発表された時、不安になった。「愛」がテーマだからだ。

私は人より愛の形が少ない。
「恋愛感情」というものが欠けている。
(それについては、ぐっちさんのあきらめラジオで話したので、詳しくはそちらを聴いていただきたい)

そんな私が「愛」がテーマのライブを楽しめるのか?

恋愛だけでなく、家族や友達、自分自身への愛などの「色んな愛」という意味で「IROAI」と名付けられたらしい。

だったらきっと大丈夫だ。家族や友達への愛情というものはわかるし、自分自身への愛はまだ少ないけど持とうとしている。それに、wacciは色んな人に寄り添ってくれるバンドだ。

そう言い聞かせながら、今年発表される曲を聴く度に、「やっぱり楽しめないんじゃないか」という気持ちも湧いてきた。

どれもラブソング、恋愛の歌だったから。

恋愛感情がわからないからと言って、「こんな曲作らないでよ!」なんてことは全く思わない。恋愛ソングを聴く時は、私はいつも物語を読んだり図鑑を見たりしている時と同じ感覚になる。「人ごと」なのだ。

自分のことに置き換えることもできないし、感情移入することもできない。その代わりに、「こういう人生もあるんだ」「人ってこういう生き物なんだ」と観察している感じ。

普段は周りと違ってもあまり気にしない。「私は私なんで」というスタンスでいる。

しかし、音楽でもドラマや映画でも、多くの人が「いいね」と言っているものに共感できない寂しさは0ではない。

それにライブとなると、一体感を感じられる方が楽しい。恐らく少数派であろう私は、その中に入れるのだろうか。ちゃんと楽しめるのだろうか。孤独を感じてしまわないだろうか。

wacciを信じる気持ちと不安が半々で迎えた当日。

ライブが進むにつれ、不安はなくなった。

もちろん、恋愛ソングもセトリには盛り込まれているけど、それだけではなかった。

疑ってごめん…

「大丈夫」は全ての人に向けられた応援歌だし、「恋だろ」は恋愛ソングだけどそれを超えて、好きなものを好きと言える力をくれる歌だし、「花束にして」や「Baton」は家族愛の歌だし、「ヒーロー」や「リスタート」は自分自身を鼓舞する歌だ。

本当に色んな愛を歌ってくれた。

私もこの会場にいていいんだと思えた。

最後のMCで橋口さんが言っていたことが心に響いた。

愛を歌っているけど、家族を大事にしましょう、友達を大事にしましょうってことを伝えたいんじゃない。
あなたにはあなたの立場、環境があって、あなただけの正解がある。

すごい…。

家族や友達を大事にしましょうって言う方が簡単なのに、その方が「きれい」なのに、そうしない。

家族だろうが友達だろうがどうしても許せなかったり受け入れられないこともある。そういう人もいるということをわかってくれている。それも正解だと言ってくれる。

誰のことも置いてけぼりにしない。そばで寄り添ってくれる。

私が恋愛感情がわからないことも私の正解なんだと思えた。

どんなに「私は私」と思っていても、周りに多数派ばかりがいる状況では怯むこともある。私はやっぱり普通じゃないんだと実感して、どこか正しくない人間なんじゃないかという考えも頭に浮かんでくる。

だから、こうして「あなただけの正解がある」と言ってもらえることはとても心強い。

橋口さんのインスタの投稿にこう書かれていた。

テーマがテーマなので、それぞれに受け取り方が違うライブだったと思うけど、あなたなりに向き合ってもらえたこと、とても勇気になったし嬉しかったです。

私なりに「愛」に向き合えたと思う。
全ての曲に共感できなくても、「わからない」で終わらせようとはしなかった。家族や友達に置き換えられるか考えながら聴きもした。

だから、最後の「まばたき」はいつもと違う聴こえ方だった。

今までは「甘くて優しい恋人同士の歌」としか思っていなかった。こんな経験、私はすることないんだろうな、と。

でも今回は、もしかしたら私にも私のことをまるっと受け入れてくれる人がいるのかもしれないと思えた。

実感はしてないけど、もしかしたら家族や友達がそう思ってくれてるかもしれないし、これから出会う人がそう思ってくれるかもしれない。

恋人同士のような甘い感じじゃなくても、ちょうどいい温度感や距離感で私を受け入れてくれる人や守ってくれる人がきっといる。そして、私も大切な人を受け入れて守れる人間になりたい。

このライブに行って、本当によかった。
生だからこそ、wacciのエネルギーというか、伝えようとする力を感じられたし、それを受け取ろうと真剣に聴けた。

wacci、ありがとう。

次はBillboardツアーと日比谷野音。
どんどん大きくなっていくあなたたちの背中をこれからも追いかけていきます。

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