Pecorino -ペコリーノ、羊乳のチーズ-
人の数より羊の数の方が多いと言われるサルデーニャ。
実際、イタリアの全羊の数の70%はサルデーニャに集まっているそうです。
と言うわけでチーズも羊の乳から作られるものが多いです。
もちろんヤギや牛の乳から作られるチーズもありますが、まずはペコリーノ
チーズもいろんな種類があるのでそれらについてです。
*Pecorino sardo DOP(ペコリーノ サルド DOP)
島の代名詞として挙げられるほど有名なチーズで、昔から貴重なものとして
扱われてきました。 1700年にイエズス会のピエモンテ人、フランチェスコ
ジェメッリィがサルデーニャのことを研究する上で書き示したものに“ジェノバ
人はジェノベーゼ(バジルペースト)に使うため、ナポリ人はテーブルチーズと
して、トスカーナ人はソラマメと食べるためにペコリーノサルドを好んで食べて
いた”とあったそうです。また1991年にはDOPの認定を受けています。
ペコリーノサルドはDolce(ドルチェ)とMaturo•Piccante(熟成し刺激的)の
ふたつのタイプに分けられます。
Dolceは20日~2ケ月熟成、約2,6kg、淡黄色のすべすべした外皮に守られ、中の
チーズ自体は白~淡黄色でやわらかいが弾力があり、デリケートな味わい。主に
アンティパストとしてそのまま食すか、ローストして食べられます。丸のままで
2ケ月、カットして真空にすると6ヶ月は持ちます。
Maturoは約1年熟成させたもので、約3,6kg、ドルチェより少し厚めの褐色の
外皮、中は白~淡黄色。舌を刺すような刺激的な味わいがあり、そのまま赤ワイン
と一緒に食したり、粉にして料理に使うこともあります。
*Fiore sardo DOP(フィオーレ サルド DOP)
サルデーニャ島放牧民の伝統的なチーズでイタリアチーズのDOPの中でも唯一羊の
生乳から作られているチーズ。Fiore(花)の名は昔、レンニン(凝乳物)に野生の樹木
(Cardoというアーティチョークの茎など)の汁を使っていたことからそう呼ばれて
います。熟成させていく中でオリーブオイルや羊の脂で表皮を磨き濃い黄色~淡い
茶色になり、熟成具合によって、その味わいも異なってきます。
フレッシュなもの(飽和状態の塩水、サラモイアにつける前)は伝統的なお菓子や
詰め物パスタの中身に使われます。また、2~3ヶ月熟成させたものは生のソラマメ
と食べると最高です。6ヶ月以上熟成したものは粉にして料理に使われます。
*Pecorino romano DOP(ペコリーノ ロマーノ DOP)
もともと古くからの羊の群れと放牧の地域アグロロマーノ(ローマ周辺の平野地域)
で作り出されたためペコリーノ ロマーノの名前がつきました。
その後、ラツィオやカンパーニ州の実業家たちによってサルデーニャの酪農家の
昔からの熟練された作り方を見習い、普及させていきました。
ラツィオ州で生まれ、サルデーニャ州で育てられた…ということになります。
現在、ペコリーノロマーノの約80%はサルデーニャで作られ、後の20%が
ラツィオで作られているそうです。
低い円柱形で20~35kg、外皮は薄く白~淡黄色ですが、熟成具合により栗~
琥珀色に磨かれています。香り高く刺激的できっぱりした味わい、ハードタイプで
日持ちがします。5ヶ月熟成の若いものはテーブルチーズ、それ以上の熟成した
ものは粉にして料理に使われます。
*Ricotta(リコッタ)
羊だけでなく、ヤギや牛の乳からも作られますが、サルデーニャでリコッタと
言えば羊を指すのが一般的です。名前通り、チーズを作ったときに出る乳性を再び
煮て(リコッター再び煮る)作られるチーズです。プラスティックのプリン型ザルの
ようなものに入れられ、真っ白であっさりとした味わい、日持ちはしません。
そのまま食したり、詰め物パスタの中身やお菓子に使われます。
その他にもヨーグルトのようなものや熟成を更に進めて腐敗させたようなもの、
ウジ虫入りチーズ!(ウジ虫はチーズの中から生まれたから清潔だそうですが、)
まで他所多様の羊乳のチーズがあります。
熟成するにつれ強い味わいになり、羊乳がちょっと苦手な私には食べ辛いですが、
フレッシュなものはクセも少なく美味しく食べられます。