野点2.0 理念
身心一如
身心一如(しんじんいちにょ)とは、肉体と精神は一つであり、一つの物の両側面であるという事を現す禅語です。
臨済宗の開祖であり、日本に初めて抹茶法を伝えた栄西禅師は、『興禅護国論』 の中で、坐禅・瞑想により、何も考えない状態に至ることで自然に身体と心が一つになるということ言っており、身体と心を一つにすることが悟りへの道であると説いています。
また、栄西禅師の弟弟子であり、曹洞宗の開祖である道元禅師は、悟りとは心が無に至った中で、はじめて身体で得る物であり、心よりも身体の方が重要であるという事を説いています。
茶禅一味という言葉が表すように、茶道には禅の悟りへ近づくための思想が基本概念として盛りこまれています。茶祖栄西禅師の思想の原点に返り、茶が瞑想し悟りに近づくことを目指す物であると考えると、茶を通して、いかに身体と心が一致する状態を作り出すかが今日の茶湯に与えられた課題でもあると考えられます。
道元禅師は、悟りの状態を「身心脱落」と表現していますが、これは身体と心が一致し、さらにその束縛からも解放され、周りの自然万象と一体となることこそが悟りの境地であるという意味となります。この「身心脱落」を行うには茶室の中よりも自然の中の方が「近い」のではないかという考えが、野点2.0の基本思想となっています。
俗世間で生きている私達は、勿論、悟りの境地を目指す必要はありませんが、日常から離れ、万象と一体化するひと時を持つことにより、疲弊した肉体と精神を癒やし、その潜在能力を最大限に生かせる状態を作ることはできるのではないでしょうか。
野点2.0は、自らの身体を使い、自然の中で茶を通して冥想を行うことで、禅が指し示す「身心一如」の状態を実体験する事を理念としています。
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