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私は生まれつき女で、これからもずうっと女でいるのだとわかったとき、空に凧をあげたいと思っ…
< あいまいみー、えーちゃん > あまりよく覚えていないし、思い出す必要もない。しかしこれは…
私の町では必ず毎日一人が死ぬ。一人以上が死んでる日もあるのだろうけど、一人は確実に死ぬ…
「俺、生まれたとき天使だったみたいで」 洋一が鼻歌を口ずさむようにそう言った。 「肩甲…
踊る小人を見たの、と珊瑚が興奮して私に電話をかけてきたとき、ツバルではもう新しい年を迎…
コンビニの自動ドアが開くと同時に、駆けていく智の足音が軽快だ。何があるわけでもないのに…
---------------------------------------------- 寡聞 見聞が狭く浅いこと。謙遜していうときの語。 過分 分に過ぎた扱いを受けること。また、そのさま。 多く、謙遜しながら感謝を表す場合に用いる。 過文 過ぎた文章を略した言葉。造語。 ---------------------------------------------- カカオが90%以上も使われているチョコレートはあまりにも苦くて、チョコレートというより土みたいだ。そ
爬虫類はトカゲ以外も皆尻尾が切れるし再生すると思っていた、とチエが言って、「そんなわけ…
暑い朝に思い起こすのは寒い夜のことだ。正確には思い起こせているわけではなく、脳内だけで…
屋台で買った軟骨のからあげを、公園のベンチに座って食べた。十分前に別れ話をしたばかりの…
田崎が彼女と別れたので、もう私は田崎の家に気軽に行けなくなってしまった。 都心から離…
「あ、あーあー、あー、三月五日。晴天。」 「三月五日。こちらは雨」 「洗濯物がよく乾く」 …
良平くんと一緒にいると、最低なことばかり起きる。 名前には「良」「平」となんだか穏や…
守村君の体は、淡い緑色をしていた。それは蛍光色だった。夜になると、部屋の電球が必要にならないくらいの光を放つ。守村君の肩から肘にかけての細くて折れてしまいそうな二の腕や、私の手首と同じくらいの足首や、針のような指。普段は遠慮がちに関節一つ一つに収まっているそれら、皮膚のあるパーツのすべてが夜には堂々と輝くのだ。 「おはよう」 「おはようございます」 八畳の隅に置かれたベッドの中に、守村君がいる。私と守村君は毎朝七時に、無機質な挨拶を交わす。それ以上もそれ以下も、必要がな