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11年10作+7年20作:文書きとしての段階(2/3)【さらば、noteを書く理由(6)】

1はこちら。

第2部2章は商業志向

それまでのわたしの執筆スタンスと言えば、第1部から数えて15年以上

「好きなものを好きなように書く」

以外の何者でもなく、当然の帰結として売れることは考えていませんでしたし、その努力もしませんでした。
これまで他の記事で何度か書いてきたとおり、他人の評価を気にすることで書くことが楽しくなくなったり、書くことをやめてしまうことになると、人生にとって損失が大き過ぎるという考えが基本にあります。だからとにかく書き続ける、書き続けられる自分であるということを優先していたのです。

ところが、第2部に入ってからはある賞に投稿し続けていました。
これも戦略的に選んだというよりは「せっかく書いたから送ろう」という感じで、とりあえず目に付いたところでいいだろうというくらいのものです。

そして4年ほど経ったある日、編集の方から連絡をいただきました。
受賞連絡ではありません。選考自体は毎年最終まで残らず四次までのどこかで落ちていましたから。

趣旨としては「応募作品が面白かったので、担当をさせてください。一緒に次の受賞を目指しましょう」というような感じです。
なお、昔は選考外でも拾い上げて書籍化することもあったようですが、今は業界全体が落ち込みがちで、無名の作品が売れなくなっているため、基本的には受賞を目指すという話とのこと。

どこまで本当か解りませんが、せっかくの機会なのでお受けすることにしました。

「よっしゃわたしもこれで商業作家人生だ!」

と思ったというよりは、

「一生書く中で、商業を意識して書いてみる時期があってもいいんじゃないか。やってみて向いてないと思ったらそれはそれで学びだし」

という感じです。

そこから3年ほど。
商業を目指したなら書く量が増えてもよさそうなものだと思いますが、結果としてそれまでの「1年あたり四、五作」と比べ「1年あたり一、二作」になりました。

理由はシンプルで、プロットを書くようになったからです。

ほぼほぼ没になる

好きなものを好きなように書いていたわたしは、それまで他人に見せるようなプロットを書いたことがありませんでした。
そもそも書き始める前に「結末まで考えてなにが面白いの?」みたいなところがあって、当時主流としていた書き方は、

  • 世界設定を決める。

  • 出すキャラクターを決める。

  • キャラクター同士の関係性を決める。

  • なんとなく書きたいことを決める。

  • 第一話のストーリーラインを考える。

  • Go!

という極めてアドリブ性の強いもの。書きながら風呂敷を広げ続け、ある地点から畳み続けて終息させるみたいな、「なに? 週刊連載漫画?」という感じでした。
それを編集の方に話したら「……凄い書き方ですね」と半ば引かれ(駄目なの?)、まずはプロットを書いて出すよう促されました。

郷に入っては郷に従えと言うので自分なりにがんばってみましたが、最初は本当に上手くいきませんでした。
普段はのびのびと遊んでいる子どもが、学芸会で緊張すると"なんてことはない台詞"でもめっちゃ棒読みになるじゃないですか? あれとおんなじで、仮にも二十作以上書いてきた人間とは思えないくらいクオリティの低いプロットを出す羽目になりました。

「なんか、普通ですね」

ってコメントされたんですが、ぐうの音も出ませんでした。
解っちゃいるけどそうなったので。

でまあ、そこから徐々に「プロットを書く力」自体は上がっていくのですが……結論としてはこうして何者でもないままnoteを書いていることからもお察しのとおり、特に賞を取ることもなく、その編集の方が異動になってしまったので編集部との繋がりも切れました。

3年間で書いたプロットは二十六本です。
うち没になったものが二十二本。

こと「物語を最初から最後まで考える」という意味では、プロットづくりの労力は実際に作品を書き上げるのにかなり近いというのがわたしの所感です。
しっかり考えると、ひとつ作るのに二ヶ月ほどかかることもありました。
そういう意味では、この3年で書くペースが落ちたという感覚はありません。むしろ実際に書かなかったものを含めれば、「物語を考えた数」はかなり増えました。

戦績という意味では、そこまでしたのに一度も最終選考までいったことがありません。編集の方が付く前も後も、その一歩手前までです。

これ、ある意味面白いなあと思っています。
この3年で色々なことを変えたのに、結果は全く同じという(面白がっていいのか?)。


と、いうわけで今回はここまでです。
次回はその3年の中でわたしが得たものについて書いて、文書きとしての現在地を考える結びにしたいと思います。

お読みいただきありがとうございます。
さらばでした!

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