わたしたちは、なぜ、つくるのか(中編)【創作の価値を考える(2)】
こんにちは、さらばです。
前回から「わたしたちは、なぜ、つくるのか」ということについて考えています。
前回は「ひとが好んでやることには必ずメリットがある」という考えを元に、"食事"や"友人付き合い"を例に出し、なにを「一番のメリット」と考えるかが、そのひとの価値観に繋がるというお話しをしました。
今回はそれを踏まえ、物語を書くことについて書きます。
物語を書くことのメリットはなにか?
前回と同じように、とりあえず思いつく限り列挙します。
書いてると楽しい。
情報を整理する力(思考力)が身に付く。
言語化力、文章力が上がる。
自分の考えていること、感情が解る。
頭の中を書き出すことで癒される。
イマジナリーフレンドが大量にできる。
「自分には物語がある」と、神様代わりに信じることで精神が安定する。
お金になる。
ファンがついて承認欲求が満たされる。
似た考えのひとが見つかる。
誰かの役に立つかもしれない。
創作友だちができる。
暇が潰れる。
どうでしょう? もっとあります?
ひとによっては「え、そんなメリットある?」と疑問の視線を向ける方もいらっしゃるんじゃないかと一抹の不安を覚えずにはいられませんが。
ここでもやっぱり大事なのは、「一番のメリット」を考えることです。
そりゃあ、自分が楽しくてお金にもなってファンもついて……というサイクルが成立したらとてつもなく素晴らしいことだとは思います。
ただ、もしそうなる方がいたら、それは運です。
批判したいわけでも、ひがみを向けたいわけでもありません。
運も実力のうちでしょうし、そういう方を天才と呼ぶのかもしれませんし、運や才能でそのサイクルに至った方が努力をしていないという話ではありません。
ただ、「報われるには努力が要る」かもしれませんが「努力が報われるとは限らない」のです。
商売としての創作が経済活動である以上は、"市場母数"があり、"シェア"があり、"先行者利益"があり、"時代の流行り廃り"があります。
新規事業は千三つ(千に三つしか成功しない)と言われます。これは極端ですが、実際にも10~20%の成功率だそうです。
野球でも、一流と呼ばれる打者は三割打つのが目安と言いますが、逆に言うと七割は打てないということです。
もちろん、努力や戦略によって二割を三割、四割に近付けることには大きな意味があります。でも八割、九割にすることは難しいでしょう。
だからシンプルに、確率論から言って「自分が楽しくてお金にもなってファンもついて」というのは運だ、ということです。
だから「一番のメリット」はなにかを考えることが大事だと言いたい。
あなたの物語の、一番の顧客は誰か?
上に書いたメリット一覧の中からなにを一番に選ぶかで、そのひとの創作に対する価値観が浮き彫りになります。
ざっくり見渡して種類を考えると、
内的なメリット
外的なメリット
の2種類に分けられると思います。
前者は「自分ひとりでも完結できるメリット」で、後者は「得るために他者が必要なメリット」です。いわば1は自分が最大の顧客で、2は自分以外の誰かが最大の顧客ということです。
具体的に分けてみましょう。
こんな感じです。
1は確実性が高いですが、2は自分でコントロールできないので不確実性が高いです。
わたし自身は1がド前面に出まくってる人間ですが、だからこそ思うのは、「1よりも2のほうが高尚なイメージがあるのはなんでだろう?」ということです。
これは創作に限った話ではありません。スポーツでも芸術でも、お金になったり、ファンがついたりしたほうが「意味がある」という印象になりがちじゃないでしょうか?(もし「おまえの思い込みだ」と仰る方がいたら、むしろ嬉しいです)
こういうことを書くと「金になるものがつくれないひがみ」とか思われるんじゃないかと想像するのですが、そういう考えの方はまさに「1よりも2のほうが上」という価値観をお持ちなのだと思います。
そうなるのは無理もないことですし、そもそもこのnote自体がビジネスのプラットフォームです。だからここでこんなことを書いていること自体がミスマッチと言われればそのとおりでしょう。
が、だからこそわたしはnoteを始めたと言っても過言ではありません。
18年以上、ろくに発表もしないまま書き続けたわたしの存在や考えが珍種なのかそうでもないのか……書いてみないことには解らん、というところが起点です(それを書くにふさわしい場所が果たしてnoteなのか? という疑問は今もありますが)。
ちなみにこういうところが半ば見切り発車なのが、わたしの創作が一円にもなっていない理由のひとつだろうなあ、と自分で思います。
と、いうわけで今回はこの辺で。
次回は「お金にならない創作に価値はあるか?」という部分を深掘りして、本タイトルの結びにしたいと思います。
お読みいただきありがとうございます。
さらばでした!
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