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日本はソロ飯天国


メキシコの食文化は「みんなで食べる」が前提になっている気がする。

メキシコでは一人で気軽に美味しいものを楽しむのが難しい。


先日メキシコに来て始めて一人で外食をした。ここで暮らし始めて4年ほどになるが、思い返すとこの4年の間私は一人で外食したことがなかった。

夫がリモートワークでいつも家にいて一緒に食事をするのが当たり前であるというのもあるけれど、私はここで暮らしていて特に「一人で外食しよう」という気になかなかならない。

自分では特に自覚していなくて、「そういえば久しぶりに一人で外食したなぁ…。というか初めてじゃないか…?」となった。

別に私は一人行動に特に抵抗があるわけではない。日本にいる頃は一人で行ってみたいレストランに入って好きなものを食べていた。

そこでふと気づいたのだ。

メキシコの良いレストランは一人では楽しめないようになっている。

メキシコのちょっと良さげなレストランで出てくる料理は、量がいちいち大きくて一人で食べきれない。

昨日行ったレストランの写真。肉がのったタコスを1皿頼んだら4ピースでてきた。奥は前菜とは思えない量の前菜。

もちろんファストフードやファミレス、タコス屋台などはソロ飯OKだ。カジュアルなお店は一人でも気軽に入ることができる。あと朝食や昼食向けのカフェっぽいお店も一人で入れる。

でも、「ちょっと良い雰囲気のレストランのディナー」には、なかなか一人で入れない。

前菜だけでもかなりのボリュームがあるし(※写真参照)、スープですらラーメンのようなサイズ感だ。肉料理は小さくても300g、一人で食べ切れるようなサイズ感では出てこない。

一人だから入店を断られることはないけれど、一人だと頼めるものがかなり限られてしまう。実際にそうしたお店に一人で訪れている客は少ない。

私はメキシコ初めての外食で日本食レストランに行った。メニューを見て「チャーシュー丼」というちょうど良さそうなものがあったからだ。

安心するサイズ感

チャーシュー丼を食べながら、メキシコ料理を出すレストランは一人で入りづらいけど、日本食って一人でも行きやすいなと考えていた。

寿司や鉄板焼きといった「ちょっと良いディナー」を一人で楽しむことになんの違和感もない。天ぷらだって鰻だって、おしゃれな小料理屋だって一名様からちゃんと楽しめる。比較的ハードルが高いとされている焼肉も、心理的ハードルが高いだけで、注文は1人前単位だから一人でも問題なく肉を楽しむことができる。

居酒屋の料理の1皿は大体小さく、一人で入ってもいろんな種類の料理を楽しめる。

でも、メキシコに限らず他の国の料理も二人以上を想定していることが多い。フレンチのコースは2名様から受け付けている場合が多いし、中華も大人数向けが多い。「食事=誰かと一緒に楽しむもの」という価値観が強い気がする。


気になってメキシコ人の夫に聞いてみたところ、メキシコには日本のような「一人で食事を楽しむ文化」がないという。あと、アメリカのように「一人でバーに行って飲む文化」もあまりないらしい。食べるのも飲むのも誰かと一緒の場合が多い。

もちろん時と場合によって一人で飲んだり食べたりすることもあるけれど、日本のように多くの人が趣味的にそれを楽しむような雰囲気はないとのこと。


なるほど、「ソロ飯」は日本のカルチャーなのか。


日本では一人で美食を楽しむ人が大勢いる。私の先輩は「美味しいものを食べるにはむしろ一人がいい」と言っていた。しゃべりながら食べてると味がわからないから、本当に美味しいものを食べる時は一人で真剣に食べたいそうだ。

私には食べ歩きの趣味がないから「わかる〜」とはならなかったけど、でも言っていることは理解できるし、日本にはそういう人が結構多いと思う。

そしてそうした人に寛容な世の中だと思う。
一人でも来店できる店の選択肢が圧倒的に多い。

そう考えると、やっぱり日本人は食べることが大好きな国民だなと思う。まぁ人類基本的にそうなんだろうけど、でも日本人の食事への愛情は並々ならない気がする。


・・・日本の居酒屋が恋しい。


こういうの食べたい!

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