ママの第3形態
2歳の子どもが我々親を呼ぶ呼び方が、「ママ、パパ」だったのが、「ママちゃん、パパちゃん」にいつの間にか変化した。おもしろいなと思っていたら、最近「まーちゃん、ぱーちゃん」にさらに進化した。「まーちゃん」。サオリという名前の自分にとって、今まで呼ばれたことも呼ばれる予感すら一ミリもしなかった名前で呼ばれ、なんだかむず痒く、地味に嬉しい。
かつて、まみちゃんという友人が「まーちゃん」と呼ばれていて、なんてかわいくて甘い呼び名だとひそかに憧れていた。その呼び名で、自分が呼ばれる日がくるとは。呼ばれるだけでなく、子どもに何かを話す際に「まーちゃんが○○するから、はーちゃん(子どもも自動的にこの様式の呼び名に変化)も○○してくれる?」などと、自分で自分をまーちゃんと呼ばざるを得ないのである。その都度、ムズムズ&ニヤニヤしながら、新たに与えられた自分の名前に舌鼓を打っていた。
そんな期間が10日間ほど続いた今日になって、子どもが急に「ママちゃん・パパちゃん」に戻っていることに気づく。えっ、うそ、もう終わり?名残惜しく「これだあれ?」とこれ見よがしに自分を指差して聞いてみる。「ママちゃん」。ハッキリと言い切る子ども。まじか。束の間の、まーちゃん生活。新しい名前を与えられて、生まれ変わりでもしたかのように自らまーちゃんを連呼していた私よ、さようなら。子どもの一時的なことばの変化により、思いもしなかった経験ができて我は満足である。(2歳0ヶ月)