レトルトカレーに学ぶ変化を生き抜くビジネスマインド
まだ歴史が長くない小さな会社に勤めています。そのため、会社は基本的に急成長を目指し、完成されていない制度を整えるべく、変化の多い環境で働いています。
そういった環境下で何か新しい業務フローが導入されると、どうしても一定数の社員からネガティブなリアクションが発生することが多く、変化を嫌う人は案外多いものだと痛感している次第です。
これは当然の感情だと思うことも多く、僕にもプライベートでは似たような傾向があります。未だに電子書籍に切り替えることはできず紙の本を読み続けているし、手書きの日記を10年以上書き続けています。
紙媒体への偏愛も理由のひとつかもしれませんが、変化に対して「腰が重い」というのが大きな理由です。
プライベートでは僕の様に勝手にしていれば良いですが、仕事で変化に拒否反応を示してしまうと、仕事についていけなくなってしまうだけではなく、日々の仕事が億劫にもなってしまいます。そのため、変化に対しては常にポジティブなマインドで向き合っていた方が楽しく過ごせるはずです。
そこで、少し工夫を凝らしてマインドを変えることをお勧めします。身の回りの当たり前のものから、変化を考えてみるとポジティブな気持ちになることができます。
変化というものは完了してしまうとそれが当たり前になるものなので、現在の身の回りにある当たり前のものも、様々な変化を経てようやく当たり前になったと考えれば「そういうものだ」と納得ができるものです。
少し皮肉めいた問い方をしてみると、仕事では変化を拒否しながら自宅でレトルトカレーを食べたり、冷凍食品を食べたり、ノンアルコールビールを飲んだりしているのであれば、自分自身がまさに社会の変化がもたらした果実を享受していることになります。
レトルトカレーを例にして想像してみましょう。今では当たり前になったレトルトカレーですが、世界で初めて市販用にレトルトカレーを販売したのは大塚食品の「ボンカレー」です。
「一人前入りで、お湯で温めるだけで食べられるカレー、誰でも失敗しないカレー」を完成させるため、様々な試行錯誤を繰り返しますが、当時は2層構造の半透明パウチを使用していたことから、光と酸素によって風味が失われて賞味期限を長く保つことができませんでした。
そこで包材メーカーと協力し、ポリエチレン、アルミ、ポリエステルの3層構造のパウチを採用したことによって、ついに長期保存が可能になります。
しかし、上述のボンカレー公式サイトの開発秘話をお読みいただければわかりますが、発売当初にお得意先に自信を持って商品の説明をしても、なかなか理解が得られない期間が続いてしまったのです。
ここに書かれていることだけでなく、様々な困難にぶつかったことは想像に難くありません。彼らはカレーの固定概念を崩すために「変化」を引き起こす多大なチャレンジそしていたのではないかと思うのです。
「カレーは鍋でコトコト煮込むことでようやく美味しくなるんや」
「腐らないわけがない。なんか変な添加物をたくさん入れとるんやろ」
といった、変化を拒否するネガティブなリアクションがたくさんあったことが予想されます。
ここで挫折してしまうのであれば、よくある話ですが、ビジネスを繰り広げる当時の社員たちはそれらをはねのけて、コツコツと試食会を重ね、宣伝を工夫し、ついに一般販売にこぎ着けたわけです。
その後、日本の高度経済成長期突入と同業他社の市場参入により、レトルトカレーは急成長を続け、2017年にはついにカレールウの売上額を抜きました。
こうして、今ではレトルトでカレーを食べることが当たり前になっているのです。
この様な苦労はレトルトカレーだけではなく、その他の商品でも発生していたに違いありません。
今では便利で美味しい冷凍食品も「料理は出来立てが美味しいに決まっている」と言われていたはずです。
ノンアルコールビールも「酔うために酒を飲んでいるんだ。酔わない酒を飲む意味がわからない。」と言われていたでしょう。
こういった固定概念を、現場の社員たちがポジティブなマインドをもって覆すことで、新しい市場をゼロから生み出し、私たちの「当たり前」に変化してきたわけです。
今でも様々な企業が固定概念を壊して新しい市場を作るべく、頭を働かせて必死のチャレンジをしていることを思うと、変化を拒否する余裕はないのではないかと思うのです。