脾臓から教わる自意識と予防の効用
プロフィールに書いた通り、僕は過去に胃の全摘出手術を経験しており、身体に胃のない生活をかれこれ10年以上続けています。
そこではわざわざ触れていませんでしたが、胃を摘出するのと同時に脾臓(ひぞう)と胆のうも摘出しています。脾臓と胆のうに悪いものがあったわけではなく、胃全摘手術の手術法の一貫でこの二つの臓器は摘出するのが標準治療のようです。
どちらも胃の摘出に比べると後遺症はほとんどなく、生活に困っていることはありません。むしろ説明を受けなければ今に至るまで摘出していることに気づいていないと思います。
しかし脾臓に関しては、受けた説明と合致することが何回かあります。脾臓には免疫力を司るための抗体を作る働きがあるため、脾臓を摘出していることで感染症などに罹りやすくなってしまうそうです。
脾臓摘出によって感染する可能性のある特定の症状に関しては予防接種を受けたこともありますが、一般的な感染症に関しても注意をする必要があります。
実際には、数年に一回程度の頻度で軽度の肺炎や帯状疱疹、ウイルス性胃腸炎などに罹っており、インフルエンザにもコロナにも数回罹ってしまっています。こうしてしっかり感染している事実を振り返ってしまうと、やはり脾臓を失ったことで免疫力が高まり切っていないのだなと再認識します。
しかし、これらの病歴は10年以上の期間に発症していることであり、どれも2~3年に一回の頻度です。そのくらいの頻度で体調を崩す人はどこにでもいると思います。
僕は普段会社員として働いています。仕事において、上司や部下や同僚が次々と体調不良で欠勤している時にも、脾臓を摘出している僕が何故か無事に働いているということがしょっちゅうあります。
これは、僕自身に「脾臓を摘出している」という自意識がしっかりとあることから、普段から無意識に免疫力が下がらないよう行動しているのかもしれません。
具体的に何か健康法を実践しているわけではありませんが「自分は病気に感染しやすい」という気持ちで過ごすことで、無意識化で注意力が増しているのだと思います。
思えば、自動車の免許取得でも似たようなことがありました。
教習所に入所する際に課された「運転適性検査」の様な試験を当時受験した時のことです。その試験は「運転技能」に関わる結果がA~E判定(Aが最も優秀)で、「運転と性格の相性」に関わる結果が1~5判定(1が最も優秀)の適性検査でした。
当時の僕の適性検査の結果は「運転技能」の結果がE判定で、「運転と性格の相性」の結果が4だったのです。限りなく最悪に近い結果にショックを受けたことを覚えています。
しかし、この結果によって「自分に運転は向いていない」という自意識が強く根付くことになりました。そういう気持ちで運転をするため、安全運転への心がけは人一倍強くなっていたものです。
その効用もあって頻繁に車を運転していたものの、10年以上無事故無違反のゴールド免許を取得することもできました。
「自分に運転は向いていない」という自意識のおかげで事故や違反を予防することができたのです。
目標にするための明確な目安がある「成果」とは違って、何も起こらないことを目指す「予防」はどうしても努力がしづらいものだと思います。
もし何か苦手なことや向いていないことがあるようなら、それはある意味で自意識を高めるための貴重な機会だと捉えて「予防」に意識を向けてみれば、大切な何かを守ることができるかもしれません。
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