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仕事を辞める理由と会社員でいることのメリット
人生において多くの時間を占めることになる「仕事」ですが、厚生労働省のデータを見てみると昔から毎年一定の労働者が3年以内に離職をしているようで、その割合は高卒で40%前後、大卒で30%前後を推移しています。
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そして、仕事を辞めた理由については「労働時間・休日等の労働条件が悪かった」と同程度の割合で「職場の人間関係が好ましくなかった」という人間関係に関わる回答が多いという結果が出ています。
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こういった傾向もあってか、会社の様な組織に属さずにフリーランスとして働く人口は増加傾向にあり、計462万人にもなります。調査時点が2020年なのでコロナウイルス渦を経て現在は更に増加しているはずです。
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いつの時代も人間関係を理由に組織でうまく活躍することができない人は一定数存在しましたが、そういった人たちのなかでも、スキルや知識を持つ人は独立して生計を立てるよう、推移していく傾向にあるようです。
フリーランスならば、組織における上下関係や同僚との人間関係もなく、突然の辞令で転勤するようなこともありません。何よりも自分の得意なことで仕事をすることができて、その時間も自分の裁量で使うことができます。
収入も会社員のように給与ではなく、仕事の実績に応じた報酬という形態となります。報酬は青天井であり、支払う税金も圧倒的に少なく済みます。
そのため、スキルや経験、人脈などがある人にとってはフリーランスとして働いていくことの方が、人間関係に悩みながら会社員として働き続けることよりも魅力に感じるのは当たり前のことでしょう。
しかし、一方で会社員であることに魅力が全くないわけではありません。
まず、高くはなくとも毎月一定額の月給がキャッシュフローとして組み込まれているのは生活に安心感を与えてくれ、今後の人生においても計画を立てやすくなります。
また、会社には社員に対して学びを提供する研修の様な制度もあれば、OJTとして直接ビジネススキルや業界の知識を教えてくれる機会も豊富にあります。(労働力の減少から今後は減っていきます)
これらの機会を固定の給料を貰いながら享受することができます。フリーランスの場合は身銭を切って研修に参加し書籍を購入して勉強する必要があるのです。
そして、大きな失敗やトラブルを起こしてしまった時も、基本的には最終的な責任は会社が負ってくれます。(だからと言って罪を犯してよいわけではありません)
そして、スキルや経験が乏しい人にとって、会社員であることはひとつのセーフティネットにもなっているという実情があるのも重要なポイントです。
これら会社に属すメリットと、複雑な人間関係から自由でいられることを天秤にかけて、自分の働き方を変化させる時期を見極める必要があるのだと思います。
今はまだスキルや経験が乏しく、様々なストレスを我慢しながら会社に属す必要があるという人は、まずは会社での人間関係を少しでもよくできないかマインドを変えることを試すのが良いでしょう。
経営学の基礎を築いたピーター・F・ドラッカーは著書『マネジメント』のなかでこの様な言葉を残しています。
仕事は人の好き嫌いとは関係ない。仕事は感情抜きで行うことができる。仕事以外に付き合いのない好きでもない人とも、仕事はできる。人の仕事に敬意を持つことさえできれば、嫌いな人とも仕事はできる。
仕事の良いところは、嫌いな人とでも同じ目標に向かえることでもあります。会社員でなければ会うことがなかっただろう人と出会えるのは、人生において貴重な経験になるはずです。
仕事を辞める時は、勢いで辞めてしまわずに、これらメリットとデメリットを考慮したうえで、冷静な判断をすることが大切です。