SEOを知ったきっかけは「風俗」だった
私は現在、とあるWebマーケティングの会社で「SEO」に携わる仕事をしています。
SEOというのは「Search Engine Optimization(検索エンジン最適化)」の略で、人々が「洗濯機 おすすめ」とか「イボ痔 治し方」など、色んなキーワードでGoogleなどの検索エンジンで検索したときに、自分のウェブサイトがより上位に表示されるための施策、という意味です。
SEOとは、目立ちたがりの科学である
想像してもらえるとわかると思うのですが、何か調べたいことがあってググったとき、基本的には上位に表示されたページしか見ませんよね? 上位のページをざっと見て、もし欲しい情報がなかったらキーワードを少し変更して再検索をしてまた上位の記事を見て…と繰り返す人がほとんどのはずです。
つまり、基本的には上位表示されたサイトしか見られないので、ビジネスをしているほとんどの会社や個人は、Googleという果てしなく広い大地の中で「おーい、ここにいるよー!見て!」と必死で目立とうとしているわけです。それがSEO。
SEOを知ったきっかけは「風俗」だった
約10年前のこと。当時の私は銀行のATMを遠隔監視するという、実にイメージしづらいアルバイトを夜勤でやってました。なんのことはないATMに異常を検知したら現場に警備員を手配するだけの仕事で、何も起こらなければひたすら暇という気楽なバイトでした。さらに夜勤は社員もいないので、バイトの面々はFXをやったり、私はコンクールに応募する脚本を書いたりと、各々好きなことで時間を潰していました。
ある時、バイト仲間の1人が私物のパソコンを操作しながら難しい顔をしているので、何やってんの? と聞いて帰ってきた答えが「SEO」。
えすいーおー? なにそれ?
彼は副業で風俗関係の仕事をしていました。詳しくは忘れましたけど、無料案内所で接客したり、ホームページの管理をしたりと幅広くやってるそうで、その一環としてSEOの業務をやっていると言いました。
さらに話を聞くと、性風俗は性質上、大々的に広告が打てない。だから集客するためには、SEOでホームページを上位表示して風俗を探すユーザーに見つけてもらうことが必要なんだと。
なんと。私は普段使っているGoogleの検索が、そんな仕組みになっているとは夢にも思わず、なんだかテキトーにランダムで表示されているのだと思ってました。
私の頭の中に「SEO」という言葉が妙に印象に残ったのを覚えています。
ご無沙汰のSEOと再会、そして仕事へ…
それからSEOとの関わりが始まったかといえばそうでもなく、ふらふらと生きてるうちにたまたま前職で会社のコラム記事の執筆を任され、企業として文章を書くには「SEO」を知らなければならないということで、すっかりご無沙汰だったSEOと再会したわけです。
SEOで面白いと思うのが、非常に人間臭いものと相性がいいということでした。欲望やコンプレックス、人には言えない思いや悩みであればあるほど、多くの人は何とかしたいと検索窓にキーワードを打ち込みます。
つまり、SEO施策をするには、そのキーワードに託したその人の思いへの深い理解が必要ということです。膨大なデータ分析による数学者のような側面と併せて、心理学者のような資質が求められるところが、SEOという仕事の難しさであり、面白さだと思っています。
ぜひインターネットで何かを検索するときは、裏に隠れたSEOの世界に少しだけ思いを馳せてもらえると嬉しいです。あなたが見ているそのページは、きっと誰かの緻密な計算と、なにより心の機微への理解の賜物ですから。
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