Sansanが日本の営業DXの未来を切り拓く〜ビジネスインフラとして目指す世界〜
2007年からサービスを提供し、Sansan社を牽引してきた営業DXサービス「Sansan」。コロナ禍の逆風もありながら、プロダクトを刷新し市場をリードしてきました。2024年1月にはタグラインを「名刺管理から、収益を最大化する」に変更し、顧客の事業貢献にコミットすることを宣言しています。Sansan事業の責任者である小川に、Sansanビジネスの現状と今後の展望を聞きました。
コロナ禍を乗り越え、ビジネスインフラへの道筋が見えてきた
ーSansanに入社して10年目ということですが、Sansan事業の現状をどのように捉えていますか。
Sansanの契約件数が9000件を突破し、当社のビジョンとして目指していた「ビジネスインフラ」に少しずつ近づいてきたという実感があります。
私が入社したのは2015年ですが、当時と比べるとSansanの状況は大きく移り変わったなと感じます。2019年までは松重さんのCMのセリフ「それ、早く言ってよ〜」という価値、つまり「名刺をデータ化することで、見えなかった社内の人脈を可視化できる」ことに顧客から評価いただいていました。
ところが、2020年に新型コロナウイルスが蔓延し、名刺交換の機会が激減したことで、市場を確立してきたはずのSansanビジネスの価値は相対的に下がってしまったのです。
「人と人との交流の機会が失われ、営業活動がオンラインとオフラインに融合されていくなかで、Sansanのプロダクト価値をアップデートしなければいけない。」
社会の変化とともにSansanが提供する価値を変えていき、もう一度市場を確立する。そんな強い覚悟のもと、これからの営業活動を再定義し、「名刺管理から形成される人物情報」だけでなく、「企業情報、活動情報といった営業活動に必要な情報」を有したデータベースへと進化させることを意思決定しました。
結果的には、コロナの影響でビジネスにおけるオンライン化のスピードは10年早くなり、我々もこのピンチをチャンスと捉えたことで、これからの営業活動を実現するプロダクト開発の着手と進化につなげることができたと考えています。
プロダクトの進化と顧客のポジティブな反応をふまえ、2024年1月からタグラインもアップデートし「名刺管理から、収益を最大化する」というメッセージにしました。タグラインは、企業や商品がお客様に提供する価値を、想いとともに分かりやすく表した短いフレーズのことで、当社ではこのタグラインをとても大切にしています。
営業の役割は売上をあげること。営業DXサービスとしては、収益最大化をSansanなら実現できるということをストレートに伝えるタグラインにしました。
実際に、営業DXサービスとして進化したSansanは、顧客からも高く評価いただいています。Sansanの価値を実感いただける事例も数多くリリースできていますし、何より売上拡大・コスト削減において直接的に顧客に貢献できているのは嬉しいです。コロナ禍で相対的に価値が下がってしまった時は不安もありましたが、プロダクトの進化と顧客の反応を実感し「日本の営業活動を変えていける」という確かな自信が湧いてきています。
だからこそ、Sansanの事業責任者として「営業DXサービス」Sansanをさらに進化させていきたいと思っています。水道・電気・ガスやPC・スマホのような「インフラ」と同じように、企業の営業活動にとって不可欠な存在になっていけると考えています。
「今の小川さんからは買わない」。新卒時代の営業経験が今の原動力に
ーSansanが「営業DXサービス」として進化していくことに、そこまでこだわるのはなぜですか。
第一にSansanの価値を信じているからです。産業構造の変化や労働人口の減少など、企業は常に社会の変化に対応していく必要があります。Sansanはコロナ禍を経て営業活動の再定義を行い、進化を遂げてきました。
営業という仕事では、企業・人物・活動などの情報を広く、深くインプットしておき、その情報を最適なタイミングで活用できるかが重要なカギとなります。営業活動において効率化できるところはすべてデジタル化し、一つひとつの商談で最高のパフォーマンスが出せる状態をつくることは、営業DXに本気で取り組んでいる当社にしかできないと考えています。
また、これは私の個人的な想いにはなるのですが、営業という仕事そのものは私の原点であり、その仕事に貢献したいという強い想いがあります。私は新卒で人材会社に入社し、キャリアを営業からスタートしました。
入社2カ月目、お客さんに何度も足を運び・提案した時のことです。初めて受注できるかもしれないという局面で、お客さんから「今の小川さんからは買わない」と言われてしまったんです。「小川さんが売りたいものを売っていて、 私たちが欲しいものを提供してくれているわけじゃない」と。非常に厳しい一言であり、真実でした。
つまり、営業成績を出したいばかりに一方的に「買ってください」という提案になっていたんです。新人なら誰もが通る道かもしれません(笑)。受注ができなかったこと以上に、自分のことしか考えてなかったことが非常に情けなく、悔しかったのを鮮明に覚えています。
そして、指摘しなくてもよいのに、あえて新人である私のために指摘してくれたお客さんのありがたみも痛感しました。面会を終えて、エレベーターを降りた瞬間に涙があふれだし、外にでると雨が降っていたのですが、傘もささずにオフィスにずぶ濡れで帰ったんですよね(笑)。
オフィスに戻ったあと、当時の会社の社長に報告すると、「営業って面白いやろ。小川に足りないのは愛や」と。「愛とはお客さんを知ること、お客さんに興味を持つことだ」と言われました。そこからお客さんが持ち得る情報を徹底的に調べ、仮説を立てること。そしてその知り得た情報をお客さんに直接伝えるようにしました。つまり、「お客さんに興味を持っている」と直接伝えるために。
営業活動に必要な「企業・人物・活動のデータベース」にこだわっているのは、「顧客を知ること、顧客に興味を持つこと」のために私が時間をかけてアナログに調べていた経験があったから、「営業DXサービスとして、顧客の情報が最適なタイミングで活用できる状態をつくりたい」という想いにつながっているのかもしれません。
営業活動を通じてたくさんの学びの機会をいただき、多くの方との大切な出会いがありました。そんな大好きな営業という仕事を支えるプロダクトを手触り感をもってつくっていけるというのは最高の仕事ですよね。
”Sansanが日本の営業DXを前進させた”と思える未来を目指して
ー営業がより良い仕事ができるよう後押しするために、Sansanに求められるものは何でしょうか。
営業活動における本質的な課題を発見し、その解決策をプロダクトを通して実現していく。そして、新しい当たり前をつくっていくことだと思います。Sansanが創業した2007年、名刺管理という市場はありませんでした。
今は、名刺管理、すなわち名刺をデータ化して人脈を一元管理することをPC・スマホなどのデバイスで行うことが当たり前になってきました。Googleで何か調べることを「ググる」と言いますが、Sansan導入企業も9000社を超え、名刺を取り込んでおくことを「Sansanしといて」と社内で会話されるケースも出てきました。少なくとも名刺管理においては新しい当たり前をつくってきたと思います。
そして、次に向き合うのは、日本の営業DXを前進させていくことです。営業という職種は歴史があり、企業においても重要な役割を果たす存在です。しかし、社会変化に伴って顧客ニーズや営業手法も多様化しており、難易度は高まっています。
だからこそ、準備に時間をかけるのではなく、営業が最も価値を発揮をするべき商談を最高の場にしてもらい、売上をあげていくための営業DXサービスが、今まさに必要だと思っています。
一方で、まだまだ日本における営業DXは進んでいません。当社の調査によると約7割の営業担当者が「営業DXが進んでいないと感じている」と回答しています。コロナ禍を経て一気に広がったDXですが、営業現場ではまだまだ推進の余地があるということが実態であり、営業DXサービスを提供する私たちの伸びしろだと感じています。
今のSansanは企業・人物・活動の顧客基盤となりえる営業に欠かせないデータベースとして進化してきていますが、中長期的には営業戦略やナレッジの活用、さらには採用した人材のオンボーディング、全社的なイネーブルメントまで踏み込み、営業組織に無くてはならない営業DXサービスとして、さらに進化させていくつもりです。そして、Sansanが先導して日本の営業DXの未来を切り拓いていきたいと思っています。
▼私たちSansanが目指すタグラインの世界観を動画でもご紹介しています。