連日、日本の各地で猛暑日の予報が流れている。今朝も過去最高の猛暑日が予測される地域のニュースが流れていた。日本だけでなく世界でもヨーロッパやアメリカでも危険な暑さで40度越えのニュースも流れていた。
早朝より、外では蝉が力いっぱい取りつかれたように鳴いている。その鳴き声が暑さを倍増させている様にさえ感じる。
高橋亮介は、朝6時に起きてニュースを見ながらアイスコーヒーを飲んでいた。蝉の声でテレビの音量も少し上げないと聞こえないくらいに感じ、リビングの窓を閉めに行った。庭には、妻が毎年「グリーンカーテン」を作っている。
今年も「ごうや」「朝顔」がつるを伸ばしていたが、昨年に比べると伸び具合が今一つな感じだった。やはり暑さが影響しているのか。。。。
亮介は、アイスコーヒーを飲みながらふと仕事のことを考えていた。
最近は、顧客ニーズの多様化という目的で様々な商材やサービスが提供されている。しかし、顧客側と提供側にギャップが起きていることも顕著になってきている。
このことが重要なことに広がっていると亮介は考えていて、クライアントにも話をしている。今日も、そのギャップについての相談の案件を抱えていた。
シャワーを浴び、身支度をして自宅を出た。駅まで歩いていると、小学生が2,3人リュックと水筒をもって学校に向かっている様だった。おそらく「学童」なんだろう。あんな小さいのに偉いもんだと思って彼らの背中を見送っていた。
会社に着くと、朝浴びたシャワーが無駄かの様に汗でびっしょりなっている。最近は、ボディーシートなる便利なものがあるので、汗をぬぐうと気化熱を利用してか、一気に体が冷えて気持ち良さを感じている。
パソコンの電源を入れ、メールチェックやSNSのメッセンジャーを確認していると、早速今日の案件のリマインドが届いていた。
リマインドへの返信を行い、案件の概要を再チェックしながら資料をまとめを行った。
今日の最終の予定は、17時からの相談だった。相談といっても、亮介が相談する側である。
参加しているビジネスコミュニティの主催者である佐倉氏へアポイントをとり、今考えていることを聞いて貰いながらアドバイスをを貰おうと思っている。
亮介は、コンサル業を行っている中で、独りよがりになる考えを避けるために、知り合いのコンサル業の仲間と話をしながら自分自身の考えをまとめる様に心がけている。
特にコミュニティ主催者の佐倉とは情報交換や意見交換を兼ねて、定期的に会うようしている。佐倉には申し訳ないが、亮介のメンター的な位置だと考え、彼との時間を楽しみにしていた。
午後16時半:
亮介は、佐倉の会社近くのカフェでアイスラテを飲みながらパソコンを広げていた。
佐倉との話の展開を考えているのだった。
仕事柄、時間に遅れることがない様にすることを信条としている。
約束時間の10分前になったので、パソコンを閉じて佐倉の会社へ向かった。
佐倉の会社へ行くと会議室へ通された。
いつもの佐倉との会話は、彼の「聞く姿勢」からなのか、こちらの気持ちを素直に話したくなる雰囲気を作ってくれる。
亮介は、自分の思いを素直に伝えたいと思い、話はじめた。
さすが佐倉は、自分の伝えていることを既に認識しているかの様な返答だった。
視点が同じだとこちらも自分の感じたことをストレートに話やすい。それに、自分も話しながら少し興奮状態になっている様にも思えた。
佐倉の情報は、亮介が求めていたものを予測したかの様だった。現在の若い世代を中心にスタートアップ企業の台頭は目覚ましく、大企業でさえかなわない部分も感じられている。
亮介も書籍の中で「グローバルニッチ」の可能性や日本の企業が目指すべき方向性だという内容に共感を持っていた。
佐倉の話は、「顧客要望・顧客価値」へ導く「顧客インサイト」と言う言葉の登場から色々とリサーチしていることが伺えた。
これは、面白い話が聞けるかもしれない。
なんと、「ワークショップ」!既に佐倉は、実行段階へのステップもイメージしているかの様な話をしてきた。これは、その先にも既に計画しているのではないか?
佐倉の食事(飲み)の誘いに、即答した亮介。期待どおりの展開となった。しかも誰か紹介してもらえるということは、佐倉は何か構想を持っているのではないかと思った。
坂本 美穂子・佐藤亜希子のストーリーはこちら
どの様な展開を佐倉は考えているのか。。。次回へつづく。