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前提の変化で顧客視点も変化している。:Gストーリー(高橋 亮介)1

連日、日本の各地で猛暑日の予報が流れている。今朝も過去最高の猛暑日が予測される地域のニュースが流れていた。日本だけでなく世界でもヨーロッパやアメリカでも危険な暑さで40度越えのニュースも流れていた。

早朝より、外では蝉が力いっぱい取りつかれたように鳴いている。その鳴き声が暑さを倍増させている様にさえ感じる。

高橋亮介は、朝6時に起きてニュースを見ながらアイスコーヒーを飲んでいた。蝉の声でテレビの音量も少し上げないと聞こえないくらいに感じ、リビングの窓を閉めに行った。庭には、妻が毎年「グリーンカーテン」を作っている。

今年も「ごうや」「朝顔」がつるを伸ばしていたが、昨年に比べると伸び具合が今一つな感じだった。やはり暑さが影響しているのか。。。。

高橋 亮介:45歳。マーケティングコンサルティング業
地域マーケティングを主軸にクライアントの商品戦略や企業戦略のアドバイザーとして顧問契約を中心に活動している。もともと大手商社の企画推進室から独立し、フリーとして3年、法人化して5年経過している。
最新のマーケティング情報をリサーチしながらも常に自分自身のスキルアップや関連業種との意見交換を心掛けながら業務を行っており、クライアントからの信頼も厚い。

亮介は、アイスコーヒーを飲みながらふと仕事のことを考えていた。

最近は、顧客ニーズの多様化という目的で様々な商材やサービスが提供されている。しかし、顧客側と提供側にギャップが起きていることも顕著になってきている。

このことが重要なことに広がっていると亮介は考えていて、クライアントにも話をしている。今日も、そのギャップについての相談の案件を抱えていた。

シャワーを浴び、身支度をして自宅を出た。駅まで歩いていると、小学生が2,3人リュックと水筒をもって学校に向かっている様だった。おそらく「学童」なんだろう。あんな小さいのに偉いもんだと思って彼らの背中を見送っていた。

会社に着くと、朝浴びたシャワーが無駄かの様に汗でびっしょりなっている。最近は、ボディーシートなる便利なものがあるので、汗をぬぐうと気化熱を利用してか、一気に体が冷えて気持ち良さを感じている。

パソコンの電源を入れ、メールチェックやSNSのメッセンジャーを確認していると、早速今日の案件のリマインドが届いていた。

リマインドへの返信を行い、案件の概要を再チェックしながら資料をまとめを行った。

今日の最終の予定は、17時からの相談だった。相談といっても、亮介が相談する側である。

参加しているビジネスコミュニティの主催者である佐倉氏へアポイントをとり、今考えていることを聞いて貰いながらアドバイスをを貰おうと思っている。

亮介は、コンサル業を行っている中で、独りよがりになる考えを避けるために、知り合いのコンサル業の仲間と話をしながら自分自身の考えをまとめる様に心がけている。

特にコミュニティ主催者の佐倉とは情報交換や意見交換を兼ねて、定期的に会うようしている。佐倉には申し訳ないが、亮介のメンター的な位置だと考え、彼との時間を楽しみにしていた。

午後16時半:
亮介は、佐倉の会社近くのカフェでアイスラテを飲みながらパソコンを広げていた。
佐倉との話の展開を考えているのだった。
仕事柄、時間に遅れることがない様にすることを信条としている。
約束時間の10分前になったので、パソコンを閉じて佐倉の会社へ向かった。

佐倉の会社へ行くと会議室へ通された。

佐倉:高橋さん、お待たせしました。今日も暑いですね。

亮介:佐倉さん、今日はお時間頂きありがとうございます。外は暑すぎて参ります。

佐倉:相変わらずお忙しいそうですね。

亮介:おかげ様で、色々とご相談を受けています。今日は、そんな中でちょっと佐倉さんと情報交換したくて伺いました。

佐倉:なるほど。。。私も高橋さんとお話しすると勉強になるので嬉しいです。コンサル業も常に情報収集とスキルアップが欠かせないですからね。

亮介:こちらこそ、佐倉さんとの話がいつも勉強になっています。私のメンターだと思っておりますし、佐倉さんは私のパワースポットですから。。。

佐倉:え!パワースポットですか?面白いことを言われますね。。。。

いつもの佐倉との会話は、彼の「聞く姿勢」からなのか、こちらの気持ちを素直に話したくなる雰囲気を作ってくれる。
亮介は、自分の思いを素直に伝えたいと思い、話はじめた。

亮介:はい!それで早速ですが、今日ちょっと意見をお聞きしたいのが「顧客目線」というところでして、顧客視点をどの様に見てビジネスの方向性を調整していくかということなんですが。。。

佐倉:お!中々の難題ですね。と言っても、今一番重要と言われている核の部分ですかね。ネットでも結構マーケティングの変化についての「顧客目線」が注目されていますもんね。私も大変注視していることです。
特に「前提の変化」に対しての従来の戦略や戦術の変化の部分では重要ですよね。

亮介:そうなんです。パンデミックからの制限解除が起きても、従来の状況とは大きく変化している。また、DXやAIなどの技術進化からビジネスやライフスタイルの環境の変化が起きています。
クライアントにもその事をお話ししながらアドバイスをさせて頂いていて、再度「顧客目線」の変化を考慮する必要があると思うんです。佐倉さんは、どの様に思われますか?

佐倉:いや!素晴らしい分析だと思います。高橋さんの言われている通りだと思いますよ。基本的にストーリー展開で物事は動いていると思います。そこに変化があるのでドラマも生まれるのでしょうが。。。
それには、「前提」がある。ペルソナでも自社の強み・弱味でもマーケットの変化でもすべてに前提があって計画・行動を行っているわけです。
その「前提」が変わっていけば、当然それに合わせた変化が必要だと思います。

特に、環境の変化がビジネスやライフスタイルに及ぼす影響は大きい。優先順位も異なる。顧客目線も変化するということですよね。

さすが佐倉は、自分の伝えていることを既に認識しているかの様な返答だった。
視点が同じだとこちらも自分の感じたことをストレートに話やすい。それに、自分も話しながら少し興奮状態になっている様にも思えた。

亮介:はい!その通りです。そこに目を向けることで「顧客価値」も変化していることになっているのではないかと考えているんです。
リモートだったり、テイクアウトだったりとした3年間のパンデミックがあらたな常識をつくったり、その弊害や被害としてコミュニケーション不足や物事の優先順位から保守的な考えになったりと方向が変わってきている様に感じます。

佐倉:そうですね。「グローバルニッチ」と言われるビジネス展開が今後のスタイルと言われていますが、「ニッチ」のとらえ方がまさに「顧客目線」に対応する部分だと思います。隙間にある「顧客価値」をどの様に伝えそれをグローバルな市場へ展開するかという意味でも変化を認識して変革することが求められているのかもしれませんね。
ただ、今までのことや決めたことを途中で変化することは難しいのもありますよね。そこがスタートアップや小規模事象の強みになっていることもありますね。

佐倉の情報は、亮介が求めていたものを予測したかの様だった。現在の若い世代を中心にスタートアップ企業の台頭は目覚ましく、大企業でさえかなわない部分も感じられている。
亮介も書籍の中で「グローバルニッチ」の可能性や日本の企業が目指すべき方向性だという内容に共感を持っていた。

亮介:なるほど、小回りが利き即効性がある部分ですかね。特に大企業や日本企業は、実績や経験を重視しがちで、前例のないことや新しいことへは二の足を踏むことが多いですよね。
とわいえ、大企業も事業部分から子会社化したり事業独立などでの対応を進めている企業もある様です。

佐倉:確かにその様な企業は結果を出していることもありますね。とにかく変化への対応から計画を立て直し行動するところは強いのかもしれません。

「顧客目線」といば、その中で「顧客インサイト」ということが重要となりますが、高橋さんは、どの様に思われますか?

亮介:「顧客インサイト」ですか?確かに難しいですが、そこを分析・理解しないと次には進めませんよね・

佐倉の話は、「顧客要望・顧客価値」へ導く「顧客インサイト」と言う言葉の登場から色々とリサーチしていることが伺えた。
これは、面白い話が聞けるかもしれない。

佐倉:そうなんですよ。今までもマクドナルドの野菜バーガーの失敗に代表される様に、単にアンケート結果を反映しても、本来の顧客の要望は違ったりします。アンケートの背景や前提を明確にして顧客からの要望を聞きだし判断する必要があります。

亮介:マクドナルドがアンケートで次の商品戦略でアンケートをとった時に、健康にいい野菜のハンバーガーの要望が多いことから商品化したものの、そもそもファーストフードに来る顧客にはジューシーな肉のバーガーが望まれていたというやつですよね。顧客の本来の要望はアンケートとは違うところにあった例ですね。そこには、経験や俯瞰的な視点が必要になるということですよね。
だからテストマーケティングや自身が顧客になっての目線が必要となるんですよね。

佐倉:そうですね。ただ、その実績や経験が少ないのも現実だと思います。中々シュミレーションレベルでも経験することがない中で、自身の都合が背景となり判断することが起きてしまいます。

亮介:確かに、業務優先するばかりに検討することやシュミレーションする経験が少ないこともありますね。コンサルティングでも色々な観点からシュミレーションしながらアドバイスすることが重要ですが、俯瞰的な観点やいくつかの前提からのシュミレーションは実施することに難しさはあります。

佐倉:それで、ワークショップでシュミレーションを経験することはよい経験になるのではないかと思いますが、どの様に思われますか?
商品と前提を定義して、グループでその「顧客価値」とその対応するサービス・商品展開をワークショップで経験すると面白いかと思うのですが。。。

なんと、「ワークショップ」!既に佐倉は、実行段階へのステップもイメージしているかの様な話をしてきた。これは、その先にも既に計画しているのではないか?

亮介:お!いいですね。それは面白いと思います。自分のことではなく他の事例だと自身が顧客目線になる経験にもなるし、シュミレーションの経験にもなりますよね。
是非、そのワークショップやりませんか?

佐倉:ありがとうございます。それで高橋さん、この後お時間ありますか?よかったら食事とかいかがですか?紹介したい人がいますので、一緒にその話の続きもしたいのですが。。。

亮介:実は、期待してたんです。この時間からだと佐倉さんと飲めるかな?と思っていました。紹介って、どなたですか?

佐倉の食事(飲み)の誘いに、即答した亮介。期待どおりの展開となった。しかも誰か紹介してもらえるということは、佐倉は何か構想を持っているのではないかと思った。

佐倉:高橋さんもご存じかと思いますが、コミュニティの中でネイルサロンのオーナーの佐藤さんとWEBデザイナーの阪本さんです。

亮介:ああ、存じあげております。以前コミュニティでご挨拶したことあります。お若いのにしっかり事業展開されている方ですよね。しかも美しい方ですね。

佐倉:実は、相談があるとのことで呼ばれてまして、ご一緒にどうかと思いましてね。先日お二人には、「顧客価値」についてお話ししたこともあり、先ほどのお話しが繋がればと思った次第です。


やはり佐倉は、何か計画を持っていたのだと亮介は思った。これは、楽しみな展開だ。


亮介:感激です。旬なタイミングですね。え!ひょっとして佐倉さん。仕組まれてました?

佐倉:いやいや。高橋さんとどんな話かは分からなかったのですが、お二人を紹介したいと思っていたので、お二人には高橋さんをお誘いするかもしれないことはお伝えしてました。
是非、ご一緒下さい。多分ですが、その後の展開は、私が仕組んだ展開になるかもですよ。

亮介:え!なんか凄い予感。でも楽しみです。

坂本 美穂子・佐藤亜希子のストーリーはこちら

どの様な展開を佐倉は考えているのか。。。次回へつづく。


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