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「最高気温、最低気温を更新と東日本大震災」 「日光光徳小屋からのお便り」2011.04 ①

光徳小屋 四代目管理人 堺惠子

 10月。 かさっ!ぽとっ!とどんぐりの落ちる音がして、深緑は既に柔らかい緑に変わり、黄色いハリギリ、イタヤカエデ、黄色から赤のグラデーションのツタウルシ、ウリハダカエデがいつものように先を争いながら紅葉が始まりました。 今シーズンの異常気象で、紅葉を見せずあっという間に茶色になってしまう葉、暑さに縮れてしまう葉など悲しい木々も見られましたが、それでも日光の紅葉は相変わらずの美しさでした。

 11月。 突然の雨音に窓から外を見ると陽の光。 雨音は風にあおられた木々のざわめきでした。 強風に木の幹はキシッ!ミシッ!と音を立て、木々はメトロノームのように上半身を揺らします。 美しい樹形だったツタウルシは笹の中に倒れました。 絡んでいた白樺の枯れ木が強風に倒されてしまったのです。 しぶとく触手を伸ばし、他の木に絡んでくれるでしょう。

 ある日、小道を上がってくると看板が後ろ向きになって、いたずらされたように剥がれているではありませんか。 よくよく見ると、なんと熊の手の肉球跡が! 爪痕が! 残毛が! かじった跡が!! 看板にかじりついた熊さんの姿が目に浮かび「もっと美味しいものを食べたら」と・・・ 他の地方でも看板をかじられた事例があったそうです。 そして、雪。 風花が何度か舞ってはいましたが、うっすらと今年の初雪! 冬支度を始めねば・・・

 12月。 本棟前のウラジロモミの大木が鹿の食害で樹皮を一周食べられてしまいがっくり。 樹皮を一周食べられてしまうと、水分や栄養分が取れず枯れてしまうのです。 少しして斜面左側の立派なウラジロモミも食害にあい、急いで森林事務所から頂いた鹿ネットを巻いてセーフ。 春からの光徳小屋敷地周りの鹿食害はひどく、着任してからの5年間最悪の状況です。 立ち木は樹皮を食べられ、実生の幼木は葉を食べられ育たず、草花はあっという間に消えていき、遠い将来奥日光の山は人口樹林のカラマツ(葉も樹皮も食べられない)と高くはい登ったヤマブドウ、ツタウルシの世界になってしまうのでは? と一人心配の私です。

 下旬のある朝、30㎝の積雪。 これがしっかり水分を持った重い雪で、白樺は草のようにうなだれ、幹の先は重さに耐えかね折れています。 大きな樹の先が折れているのを不思議に思っていましたが、これだったのかぁと納得。 バキッと音がしたのは、枝が折れていたのですね。 白樺、ハルニレ、カラマツの枝が落ち、小道には倒木が横たわりました。 倒木はチェーンソーで切断し撤去。 特に白樺の被害が多く、林の中にもたくさんの倒木。 光徳小屋入り口付近の白樺は、電気、電話、光ケーブルの線を一気に切断なんてことになりかねず、東京電力さんにより伐採されました。 そして本棟前でいち早く紅葉したウリハダカエデが小川を横切り倒れました。


11月に早い雪が降りました。



紅葉が続くと思ったら、雪が積もりました。



いつもの看板が傷ついている。。。



齧られた跡が。。。



おそらく、熊の毛が。。。



なんか、肉球の跡!?



うっすらと雪が。。。



冬への変わり目は美しいです。



冷え込みは厳しい。。。。



ちょっと天気が崩れると、真っ白に。。。



翌日は、雪の白と空の青のコントラストが素晴らしい。



少しずつ、小屋の周囲の熊笹も雪の中に。



冬の朝



クリスマス近くになると、クリスマスツリーが出現です。



小屋から見える男体山も、とても寒そうです。

山桜通信35号 2011年4月

「「フクロウがやってきたお話」 「日光光徳小屋からのお便り」2010.10 ②」から

「「最高気温、最低気温を更新と東日本大震災」 「日光光徳小屋からのお便り」2011.04 ②」へ

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