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「ふたご座流星群と積雪期の奥日光のお話」 「日光光徳小屋からのお便り」2010.04 ①

光徳小屋 四代目管理人 堺惠子

 3月初旬、小道の雪はすっかり融けて、白い世界に黒い蛇が姿を現したかのように地面を走りました。 小鳥の声もさえずりにかわり、すっかり春が来たようで、積雪量はがくんと35㎝まで落ちました。 ところが甘いね!とばかりに雪を連れてやってきた寒波が積雪量を二日間で75㎝に逆戻りさせました。

 暖冬と言われながらの今シーズンでしたが、着任後初めての積雪量115㎝を記録し、最低気温はマイナス14.5度でした。 やっぱり日光光徳小屋の3月は冬だったんだなぁと思いながら去年の記録を見ると、同じように三寒四温状態でした。 また今シーズン、時折春のような暖かさにびっくりしたものの、マイナス10度以下が数日続くと、日常、手首足首が冷えきってしびれると言う寒さでした。 お湯で温めてもなかなか戻らず痛いのです。 これが過ぎると凍傷なのかなぁなどと思いながら、奥日光の冷えっきりの寒さをつくづく感じたことでした。

 下旬になり、周辺の木の枝がだんだんと赤茶色に変わってくると、また新しい芽吹きが感じられ心がわくわくしてきます。 さて、昨年10月。 今年は最高!とか、よくないね!とか噂される紅葉ですが、やっぱり奥日光の紅葉は素晴らしいです。 湯元から始まる紅葉は、国道から入り込む光徳街道にも紅葉のトンネルを作り、光徳小屋周辺を、そして湯滝、戦場ヶ原、竜頭の滝を染めて、いろは坂を駆け下りていきました。 また、霧降の紅葉も素晴らしく、隠れ三滝のマックラ滝、霧降の滝の紅葉風景も見ものでした。

 そして秋から冬。

 深夜のいろは坂を上り、戦場ヶ原に出た途端、満天の星空。 男体山の真上にはオリオン座が大きくでんと居座って、空間は冷たくしんしんとして、凛と空気が張り詰めています。

 12月、ふたご座流星群。 夜11時、小雪の中満天の星。 氷点下5度を横目に、厚着に厚着を重ね、ソレルの雪靴を履き、斜面の積雪の中に簡易ベッドを沈めて、観察すること約1時間。 視野に入った流星6個。 顔にチラチラ当たる雪と徐々に冷え切った体に、7個目を見たら今日の観察は終了と決めて、じっと待つこと数分。 なんと目の前、真っ正面に光の帯が3、4秒。 そしてスパーク。 うわ~~!すご~~い!♪すご~~い♪~~♪ これが流星の醍醐味かなぁと大感激。 ひとしきり頑張った甲斐がありました。 これで来年の抱負を即決。 流星群の追っかけを。 あれっ!! お願い事言うの忘れちゃった。 十分に言えたのになぁ。。。

山桜通信33号 2010年4月


12月の湯ノ湖(湯元温泉の上部から)


男体山の北側から昇る冬至の太陽


光徳小屋周辺の湿地帯に差す、冬至の太陽


キンキンに冷え切った、快晴の朝


流星群の観測場所は、こんな冷え切った斜面です!


光徳小屋の真冬は、落葉樹が葉を落としているので、スッキリと観測可能です。


真っ白な斜面。
天候が良ければ、素晴らしい観測場所になります!


きわめて寒い。しかし、光がないので天体観測には最適です!


「「倒木更新とワタムシのお話」 「日光光徳小屋からのお便り」2009.10 ②」から

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