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✈︎travel note✈︎🇯🇵

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旅と写真と文章と。旅をしながらぐるんぐるんと考えたこと。青森・岩手・東京・神奈川・山梨・岡山・仙台・富山・長野・栃木・愛媛・京都・神戸・福岡・福井・大阪・静岡
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#エッセイ

旅のはじまり@青森

この旅のはじまりに、青森という場所を選んだのは、必然だったのかもしれない。 盆と正月が近づくと、どちらからともなく連絡を取り合う友人がいる。彼女は大学時代の同級生で、大学と我が家のちょうど中間あたりに下宿していたもんだから、学生時代は家で夜ご飯とお風呂まで済ませてあとは寝るだけ!の状態でお泊まりに行っては夜な夜な彼女の家でお喋りをしていた、大切な友人。 この夏は彼女の仕事が立て込んでいるらしく、「これは憧れのグランクラスデビューのタイミングなのでは」といそいそとチケットを

遠くのどこか、レバノンとか京都とか。

こうしてnoteを書き始めてはや3年目になるわけだけれども、遡ってみると ・はてブロ ・Facebook ・アメブロ ・mixi ・Yahooブログ…… とまぁ、中学2年生くらいからずっとオンラインがすぐそばにある生活をしているわけで。もう、ネットのない世界線でなんて生きていける気がしないなと思っている。 はじめてオンラインを介して友達ができたのは、九州の片隅でYahooブログを書いていた中学生の頃。 あの頃わたしは、(今思えば難聴も大きな要因だったのだろうけれども)友達

雨降らば晴れるまで参れ善光寺

一生に一度は善光寺参り そう目にはしたことはあったものの、長野はいつ来ても通過点でしかなかった。 雪まじりの雨がしとしとと降る。 よくよく思い返すと、昨夜から天気予報のマークは雨と雪を行ったり来たりしていたっけ。それでも、やっと長野が目的地になった今回 善光寺には行かねばならぬ! という謎の使命感に燃えつつも、空を眺めてはどんより気分になっていた。 そういえば、初めての長野は湯田中へ行くための中継地点だったな。 そんなことを思い出しながら、運賃が高くて首都圏の引退車

vol.3:音の世界と音のない世界の混じり合う空間【MYJ✈︎HND】

全ての手続きを終えてカウンターのグランドスタッフさんと目が合う。 彼女が少しはにかみながら「ありがとう」と手話をする。 小さい頃からお世話になっている航空会社が、ここでよかったな、そうほっこりした気持ちでカウンターを後にした。 LCC(格安航空会社)がダメとか大手航空会社が良いとかそういう話ではないけれど。 それでも、今日乗る飛行機の航空会社が、同じ音のない世界に生きる友人が何人も働く会社であるということは心強い。 わたしの音のない世界の友人も、この人たちと手話で会話をする

prologue:旅の始まりはちょっぴりの不安に包まれている。【羽田→愛媛】

待てども待てども、ガラス越しに見える空はくすんでいる。 この日の羽田空港は、どんよりとした冬の空だった。 旅がはじまる。 いつもだったら胸高まるはずの出発ゲートで、不安ばかりが募っていく。 そういえば、彼女との前回の旅は中止になったんだった。あれは、秋の大きな台風の日。 自分たちの身を守るため、と大義名分を立てながら半泣きでホテルをキャンセルした約4ヶ月前。 今回こそは、お天気に恵まれたい。 そう願わずにはいられなかったのに、空は見事どんよりと曇っていた。 7:

彼女の「金谷のとっておきコース」

青が、濃い。 白い息を吐くわたしたちは、そう呟かずにいられなかった。 南房総は金谷。 フリーランスの集う「まるも」がある場所として有名で、名前だけは聞いたことがあった。 いつか行けたらな。でも、それは「いつか」でしかなかった。 そんなある日、巷で有名なかの「まるも」でスタッフをしている友人のツイートを見ていたら、どうしてもいきたくなってしまって。 祝日の今日、ふらっと電車でやってきた。 都内から2時間半。 海の見えるこの街は、なんだかとても懐かしい。 美味しい珈琲を

夜行バスは、やっぱりびくびくしちゃうんだよなぁ。

社会人になったら卒業したかったもの第1位にランクインするのは、間違いなく夜行バス。だというのに、今日もわたしは東京駅八重洲口から徒歩数分の鍛冶町駐車場へと向かっている。 はじめて夜行バスに乗った日のことを、よく覚えている。あれは、生まれて初めて「音のない世界」へと飛び込んだ日。 聴覚障害のある大学の同期が、「sanmariも手話上達きてきたし、そろそろ一緒に行こうよ」誘ってくれたのだ。 はじめての音のない世界。 はじめての夜行バス。 とってもとっても緊張したことを覚えて

見つけちゃったよ。秋。 #dotcolony冬合宿

もしわたしが、この湯河原に旅をしにきて、いつのまにやら道をまちがえ、ちょっと町のはずれのほうに迷い込んだとしたら、果たしてこんなに綺麗な秋の光を見つけられただろうか。 #dotcolony冬合宿 、初日最初のイベントは「紅葉フォトウォーク」。なんせ、今季のテーマは「 #ときめく写真の作り方 」ですからね。 THE RYOKAN TOKYOから歩いて数分。万葉公園へと向かう階段がひっそりと佇んでいた。わたし一人だったらきっと素通りしちゃうような本当に小さな入り口。どうやら、

いつから。いや、いつまでも。母はやっぱり、なんでもお見通しなんだよな。

「明日から、ついに不労所得者だよ」 ちょっと自嘲気味なわたしに母が口を開いた。 「せっかくだし、どこかゆっくりできるところにでも行こうよ」 そんな母の思いやりからはじまった葉山旅。 赤い電車、京急で。快特電車は、とにかくすごいスピード。電車、揺れてるもん。気付いたら、景色からビル街は消えていて、新逗子駅に到着していた。 学生時代、洋菓子店でアルバイトをしていたときに、参加していた催事でお隣だったマーロウさん。毎日完売していて結局買えずにいたあのプリンを葉山で。ボリューミ

相棒の家出事件

わたしの耳である補聴器が 家出をした。 この日は、とにかく風が強かった。補聴器を通したわたしの耳には「ゴー」っていう雑音しか入らなくて、正直うるさい。母の口は読めるし、補聴器を外していてもなんとなく音が入ってくる。もういいや。そう思って補聴器を外したんだ。 気付いたのは、お昼ご飯のとき。 流石に店員さんの声が聞き取れなくて困るからと、付けることにした。だというのに。 ない。 いつも入れているはずのポーチにも。コートのポケットにも。念のためバックもひっくり返してみたけど

あんまりにもきれいなものを見ると、この世のだれよりもつまらなそうな顔をして自分を守ろうとするわたしがいた。

ひとりで考える時間が、人生にはときどき必要なのかもしれない。それは、きっと今なんだろうと思う。 鬼怒川温泉から山を越えダムを越え、バスに揺られながら、そんなことを考えていた。 行き先は、鬼怒川だろうと草津だろうと伊豆だろうとどこでもよかった。ただ、今すぐにでも東京から出たかった。先日の宇奈月で温泉から見える夜景に味を占めたわたしは、なんとなく、行き先が温泉だったら幸せだろうと思った。できれば、行ったことのないところに行きたい。秋だし、紅葉も見られたら素敵だな。 直感で選ん

憧れの上高地でみつけた、好きなコト・憧れのオトナ像。

たくさんの人が行き交う渋谷駅。みんな自分の目的地だけを見ながら歩いている。わたしもその中の一人だった。あるポスターが目に入るまでは。 爽やかに 始まりを飾る。 上高地 思わずポスターの前で立ち止まってしまった。 **いつか、ここに行きたい。 ** あれから数年。 紅葉狩りのため、友人と黒部峡谷鉄道の旅に行くことが決まったとき、ふとあのポスターが脳裏を過った。 夏じゃないけど、きっと綺麗な紅葉が見えるだろうな。 気付いたらアウトドアショップでハイキング

秋は、お山がチャーハンみたいに見える。遠い彼方の記憶は、ホンモノだった。

ここ数年、紅葉狩りといえば京都だった。昼は南禅寺のインクラインの紅葉を眺めてため息をつき、夜は清水寺の池に映る赤い紅葉をみて息を呑んだ。 その度に思い出す。遠い記憶の彼方のこと。 *** 母が運転する幼稚園への車の中。紅葉した山々を眺めながら、わたしはこう呟いた。 お山が、チャーハンみたいだよ。 すると母が、笑いながら「なるほどねぇ。sanmariには、チャーハンに見えるのね」と答える。 *** 紅葉の季節になると、ふと思い出すこの場面。 でも、ここ数年 紅葉=

お風呂あがりの「ちょっと」の贅沢が、わたしをさりげなく音の世界に戻してくる。

瓶牛乳の自動販売機が、目に入る。温泉に行くと、一番に探してしまうのが、コレ。温泉がメインなのは重々承知だけれども、温泉の後にあの瓶牛乳を飲むことを楽しみに、脱衣所への暖簾をくぐる。 幼少期と大学時代を東北で過ごしたからか、「〇〇の湯」みたいなスーパー銭湯から旅館の日帰り入浴、そして旅先としての温泉は、よく行く場所のひとつになっている。 ちょっと、息抜きに。 ちょっと、ご褒美に。 そんな日常を「ちょっと」非日常に変えてくれる、そんな場所。 洗い場のシャンプーとリンスがリンス