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いつから。いや、いつまでも。母はやっぱり、なんでもお見通しなんだよな。

「明日から、ついに不労所得者だよ」
ちょっと自嘲気味なわたしに母が口を開いた。
「せっかくだし、どこかゆっくりできるところにでも行こうよ」

そんな母の思いやりからはじまった葉山旅。

赤い電車、京急で。快特電車は、とにかくすごいスピード。電車、揺れてるもん。気付いたら、景色からビル街は消えていて、新逗子駅に到着していた。

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学生時代、洋菓子店でアルバイトをしていたときに、参加していた催事でお隣だったマーロウさん。毎日完売していて結局買えずにいたあのプリンを葉山で。ボリューミーで噂どおりおいしい。普通に一食分カウントできる。ランチの後に行ったんだけど、母と「2人でわけっこすればよかったねって」苦笑い。

母の日頃の愚痴をききながら、ホテルへと歩く。小さい頃は、母が愚痴を吐くなんて知らなかったな。いつからだろう、怒ったり笑ったりしながら自分のことを話し続ける顔を見せるようになったのは。
そんな母も、人間らしくて好きだなぁと思う。

ホテルは、前々から気になっていた「ホテル音羽の森」

お部屋から見える夕陽だけでは飽き足りず、スパで足湯をしながらサンセットを眺め、異国感あふれる建物をバックにツーショットの写真をたくさん撮る。

母が
「自慢するんだー」
とニコニコしながら父や友人にわたしの撮った写真や2人で撮った写真を送る。
わたしの撮った写真を嬉しそうに眺めてくれる人がいるって幸せだなぁと、心がポッとあったかくなる。小さい頃は、母にわたしの写真を撮ってもらっていたんだけどな。いつからだろう。わたしが母のことを撮る割合が増えたのは。

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夕食を食べながら、母と話すのは亡くなった曾祖母と祖母のこと。旅が好きで、美味しいものが好きで、家族が大好きだった2人の思い出をつらつらと。
祖母の死目にはわたしが、曽祖母の死目には母がいた。あの医療機器を外す瞬間だとか死亡時刻を宣告される瞬間だとかのなんとも言えない気持ちは、経験した同士だから吐けるものがある。いつだってなんでも知っているはずの母と、経験や気持ちを共有するようになったのはいつからだろう。

モーニングをお部屋で取れることがウリのこのホテル。お姫様になった気分でモーニングをいただく。

「せっかくだし、どこかゆっくりしたところ」に行きたがっていたのはわたし以上に母なんじゃないかと思いつつも、こうやって母と2人でのんびりするのも悪くない。そういえば、お仕事をお休みしたこととかその苦しみとかスポーンと忘れられた一泊二日だった。母は何でもお見通し。いつまで経っても、わたしは母の愛に護られているんだなぁ。そんなことを思いながら帰路についた。ありがとう。



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🌻さんまり🌻
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