DAZNを契約したら150kmが1mに変わった話
夫が単身赴任になってから2年が経った。
当時生まれたばかりだった三男はもう2歳になったし、二男はこの春小学生になった。子ども達にとって、150km先に住んでいる父親は平日家にいない人という認識になっている。
一番寂しがっているのは二男だ。元々パパっ子だったのに、甘えたい盛りの5歳から離れ離れになった。強がって口にはしないけど、真ん中ボーイである彼はなんとなくいつも不満を抱えている。
そんな二男はサッカーが大好きで、週末にJリーグの試合を見に行くのを楽しみにしている。
平日にも試合はあるけれど、私1人では三人兄弟を全員連れて行けないし、テレビ中継もない。だからこれまではLINEやZOOMで夫からのテキスト速報を子どもたちに話して聞かせていた。
「1点取ったって。」
『誰が1点決めたの!?』
「えーっと待って、聞いてみる。
だーれーがーきーめーたーの?っと。
……あ、きた。
マルシーニョだって。」
『そろそろ終わる!?今何点!?』
「聞いてみるね。」
「終わったって。
引き分けだったって。」
ややこしい。
今までは、そうだった。
夫がDAZN for docomoを契約した。
DAZN for docomoは1アカウントで2台の同時視聴が可能だ。サッカーだけでなく、野球・ゴルフ・F1なども放送される。明治安田リーグは全試合視聴可能なのがJリーグファンにはありがたい。
水曜日の19時。
テレビ画面には大好きなチームの選手の姿。
テレビの隣に置いたパソコンにはユニフォーム姿の夫。
それを見る私たちもまた、ユニフォームに身を包んでいる。
💻「お風呂入った?」
「もう入ったよ!」
💻「それなら最後まで一緒に見られるね!」
「パパ!今日のスタメンは誰かなぁ!?」
💻「サイドバックがなー…怪我してるから……
\\ピーーー//
おっ始まったね!!いいぞいいぞ。」
「わっ!やばいやばい……」
ピピー!!
「「「今のはオフサイド!!」」」
⚽️……
「「いけいけ!!」」
「「「ゴーーーール!!」」」
向こうとこっちの声が重なる。画面の向こうでは夫が、そして私の両側では子ども達が喜びの舞を踊っている。
そこに150kmの距離は感じない。
画面の中、という距離感はあれど、せいぜい1mか2m。
文字でやりとりをしていた頃の、まどろっこしいやりとりは要らなくなった。
いつもちょっぴり不満を抱えていた真ん中ボーイは「明日は試合だ!平日だけどダゾーンがあれば見られるね!」といそいそとユニフォームの準備をする。
それは夫もまた(らしい)。
離れて住んでいる夫と、子ども達が同じ時間に同じものを見られる。
単身赴任という物理的な距離をもつ私たち家族にとって「好きなものを同時に共有できる時間」は価格以上の価値を持っている。
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