ひとりぼっち
毎年夏休みに 帰省する祖母の家は
じりじりと暑い暑い 京都の街で
夜明けに目覚めると
私は ひとりぼっちだった
障子越しにもれる朝の光と
遠くでないている からすの声と
すぐそばで眠っている母と祖母
私は ひとりぼっちだと思った
もう 帰らなくていいんだ
学校の運動場も
体育館裏の 金木犀の木も
廊下の白い点線も
ピアノのお稽古も
もう 帰れないかもしれない
何回も電車を乗り継いで ここまできたんだもの
特急にも乗ったんだもの
母と祖母は 親子なんだもの
からすが 鳴く
それから 洗濯機がまわる音
静かだ
街の雑踏がこれから始まる
お盆が来たら
母と祖母と親戚のおじさんたちといとこと
みんなで六地蔵に行くんだって
私は 行きたくない
ひやしあめが
あまりすきじゃないから
もうすこし
ひとりぼっちに なりたいから
#詩 #詩を書く#ポエム#詩作
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