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ふぐぅと一緒に腹痛を乗り越える話

最近、急に寒くなったと感じる。そんな私がこの季節になると(個人的に)心配なことがある。

そう、腹痛だ。

私にとって、奴は大敵である。数年前、電車でお腹が痛くなってしまい、焦ったことがある。(当時は表情に出さないよう、必死で耐えた。)割とひんやりした気温だったあの日、洋服選びを間違えてしまったのだ。薄い洋服を着て、お腹を冷やし過ぎてしまったことが原因だと思う。多分。

現場は電車で、あと数駅で目的地。だが、お腹が痛い。電車から降りるか、降りないべきか。迷いに迷った。

降りることのメリットは、すぐにお手洗いに駆け込めること。我慢をせずに済むため、苦痛からは解放される。(書いていて思ったのだが、駆け込んだ先のお手洗いが混んでいたら一発アウトだ。)

デメリットは、降りた先のお手洗いに石鹸が無いかもしれないこと。普段は何事も雑な私だが、お手洗い使用後は死んでも石鹸で、手首まで丁寧に手を洗う派である。石鹸で手を洗わない場合、手がむずむずしてなんだか落ち着かない。

以前、駆け込もうとした場所のお手洗いに石鹸が無いことを発見してしまった。その時叫んだ言葉は、「ガッデム!!」である。
それ以来、石鹸が設置してある駅を探す癖が付いてしまった。

そんなこんなで迷っているうちにも、お腹の痛みは増していく。しかし、私は途中で思ったのである。

「これ、途中で降りたら絶対悔しいやつだ。」

謎の対抗心が湧いてきたため、私は電車内に残ることを選んだ。ドアが開いた瞬間、ダッシュで電車を飛び出し、早歩きで移動する。通行人の方々に不自然に思われないような姿勢を心がけて。そして数分後、無事に目的地までたどり着き、無事にお手洗いに駆け込んだのである。めでたしめでたし。

…と言いたいところだが「ふくろう、腹痛になるの巻き」はこれで終わったわけではない。

(追記:読者の皆様へ。どうか腹痛で切羽詰まった状況になっても、私の真似はしないで欲しい。素直にお手洗いに駆け込む等、我慢だけは絶対にしないで欲しい。)

食べ過ぎたとき、ストレスが高まった時…もちろん、「奴」は再びやって来る。「来るよー」という次回予告も、挨拶も無しに来るため、困ったものである。

腹痛と言っても、痛みには様々な種類がある。キリキリした痛み、内側からくる鈍い痛み、などなど…。その痛みを和らげる姿勢や方法も様々。
温める、前傾姿勢を取る(?)等の解決策も有効らしい。だが、私の場合それが効かない場合がある。じっとしていると、痛みに集中してしまい、より痛くなってしまうのループなのだ。

そんな中、私は気づいてしまったのだ。「動いた方が、痛みを紛らわせる」ということに。

中には、痛みが強すぎて動けないケースもあるし、個人差もある。(例えば、生牡蠣を食べすぎて当たる等。)そんなときは、じっとして症状が治まるまで待つのが一番だと思う。しかし、ある程度は立てる・動ける状態の場合、私はなるべく歩くようにしている。

同じ場所をずっとウロウロと歩き出すため、傍から見たら不審者だ。しかし、こうでもしないと気を紛らわせない。そんな中、「他に、良い解決策は無いか…」と思っていた時のことだった。

過去にお腹が痛かった時のことをふと、思い出したのだ。その時、ゆっくり息を吐いたことで、痛みがほんの少し和らいだことを。

そうだそれだ、深呼吸だ!実践してみよう!…とすぐに行動に移せないのが私である。痛みを感じると、他のことを考えづらくなってしまうため「呼吸!」とすぐに思い出せなくなってしまう。

そんな時、出会ってしまったのだ。現在の私がとてもお世話になっている、とある画像に。

とあるSNSで動画を見ていた時、その画像は突然現れた。イルカがフグをつついている写真である。
(気になる方は、「不遇なフグ」と検索して欲しい。)

何だ、海の生き物同士の戦いか…と思っていたら、フグの顔が想像以上に面白かったのである。実際、イルカはフグを食べる(狩りをする)ためにつついていた可能性が高い。しかし、フグの顔が表情豊かだったのである。それに加え、コメント欄では「ふぐぅ…」等と書いてあったため、笑ってしまった。

それ以来、私は何かと「ふぐぅ…」と心の中でつぶやくようになった。モヤっとする気分になるときも、満員電車でダイエットをしている(=潰されている)ときも、心の中で「ふぐぅ…」。そうすると、自分が例のフグになれたかのような気分になり、辛いのは私だけではないという思考に切り替えられる。

この画像に出会い、数週間後。また「奴」がやって来た。相変わらず腹は痛いが、どうにかして鎮めければいけない。さぁ困った…と考えるところだが、その時は違った。瞬間的に、ふぐぅの存在を思い出したのだ。

ゆっくり息を吸い、吐く。
「ふぐぅ…」とつぶやくのも忘れずに。すると、いつもよりも呼吸がしやすいと感じるようになった。また、例の表情のおかげだろうか、腹痛の際の辛さが少しだけ吹き飛んだ気がした。

そして、私はこの方法で腹痛を乗り切ったのだった。多分、あのフグは私に身を挺して様々なことを教えてくれたのだと思う。

嫌な気分、辛い気持ちになっているのは私だけではないこと。腹痛の時は慌てずに深呼吸をすること。また、その表情で私をいつも笑わせてくれる。

寒くなってきて、お腹が痛くなりやすい季節。それでも心の中の海にフグを泳がせておくこと。「これこそが人生における嫌なことを乗り切る方法なのではないだろうか」と思いながら私はnoteに乗せる画像を検索したのだった。




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