vertigo,helical scythe
巧みにすりかわるはずの
嘆きは
何処かで置き忘れられ
オレの上着は
裾から変色しはじめている
矢先
観念的な郵便配達人
が
死亡宣告通知を届けに
来た
明らかに
陰謀だった
オレは眠るのをやめ
逆スパイに志願するために
できるだけあいまいな服装を
する
(仮にスパイがいるとして)
オマエを連れ去るのが
救急車でも 空港バスでも
見送るしかあるまい
どの道
調律は
もう始まっている
理性のメーターを確認して
航海日誌に今日もまた
「異状なし」
と 平坦な字で
書きつける
赤ら顔のギター弾き
「疲れた」
と言うかわりに
「道をかえる」
と言った
「嫌いだ」
と言うかわりに
「センスが違う」
と言った
すりぬけた指の間に
知らない表情を
からめのこして
オマエのその
理想郷のうしろ
で
飼い馴らされたエピキュリアンが
無計画に
飲んだくれる
変装に
とびつこうと している
オマエでさえ
死神の鎌のしたたりにこそ
魅入られるというのか?
結局
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