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湖畔だより。その後 4 積載超過のゴンドラ

数日前は気持ちがうきうきしていたのに
軽ーく沈んだ気分で目が覚めた。

しんと真夜中の音がしている。

何が、というわけではない。
やらなければいけない事
その個数が心にずっしりきているのだと思う。
数え始めたら、完全覚醒してしまいそうなので、
しばらく横に置いておくことにする。

外がほの明るい。
満月だろうと思ったら

ヴィネチアのカナルを行くゴンドラが
夜空に浮かんでいる
ムーンリバーを漕ぎ出していけそうに
明るい。

こんな三日月、東京にあったかなあ。

杉並の家からはテトリスの1ピースのような、
切り取られた夜空しか見えなかった。

隔離8日目。
東京に戻った時の隔離14日間は、厚生労働省帰国者フォローアップから毎朝10時にラインメッセージが届いた。
熱 咳、息苦しさなどの症状があるか、と言ったような質問である。15日目からぷつりと来なくなってそれっきりである。
カナダに戻ったあとも、メールやArriveCanというアプリで 症状はありませんかと聞いてくるが、
症状の有無を答えるのはVoluntary です、と書いてある。
到着した時の空港でのPCR検査もVoluntary。
つまりやりたい人がやるということである。
しかしトロント界隈でケースは増えていて、いったん緩んだ規制が一段階戻されていた。

ゆるいなあーと思っていたら
電話がかかって来た。

症状はないか、どこで隔離されているか、他の人との接触はないか、隔離中の食料などの確保はできているか、外の空気を吸える状況か、などを聞かれる。

湖はもう水鳥しかいないし、裏庭で残りの野菜がかろうじて育っている。
隔離生活には完璧。

このままでもいいやと思うくらいである。
ああ、隔離慣れしてきた自分が怖い。
心に元気がない日は特に。


noteを書いていたら夜が明けてくる。
息もつけないくらいの美しさである。
ゴンドラは 天中に手繰り寄せられつつも、濃い藍色の空に浮いている。

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写真を撮っていて思い出した。
東京から戻ってきたら、裏庭のフェンス際に高々とポールが立っていたのだ。その先にはビデオカメラが取り付けられている。

一体、いつ誰が?
この水鳥しかいないビーチになぜ防犯カメラが要るのか
そして何より、せっかくの湖の風景が台無しである。

ローリーに聞くと、ビーチクラブのディレクターのメールアドレスを教えてくれた。
心にひっかかっている、やらなければならない事のひとつがこれだった。
別にこのままでもいいか、とも思ったが
やっぱり言わなくてはならないと思いなおす。

せっかくの三日月写真がこんな風になってしまうのだから

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しかし、母語が使えないのは何とも不利で気が重くなる。
母がまだ生きていた夏、スカイプで、毎日泳いでいると言ったら

あんた気楽でええな~

と言った。

この異国での娘の状況への想像力のなさに、
思わず笑ってしまったが、

実際の娘の状況
参照:note:マガジン 湖畔だより。追憶inCanada

https://note.com/kazunagatsuki/m/mf11651072e7f

ひょっとしたら、実際のところ、気楽なのかもしれない。

さて、三日月の形をネットで調べていたら、こんなのを見つけた
日本では

三日月


そしてオンタリオでは

2三日月

よく見ると今日は夫の誕生日であった。

Waning Cresentとある。
月は新月に向かっている。

日本とカナダの子供たちのために使いたいと思います。