台詞36
「対バン相手の中には話が合ういいバンドも結構いてね、好きなミュージシャンへの憧れだけで出来てるようなメンバー達がそりゃあかっこよかったんだよ。馬鹿になんてしてないさ、あたしだってそんな奴のひとりだったんだからね。この歳になってその頃を思い出すと、変な話なんだけど記憶の中のその子達の親になってるって妄想をしちゃうんだよ。『次のライブいつ?絶対行くからちゃんと教えてよ?』『別に来なくていーよ。学芸会じゃねぇぞ』みたいな会話してさ、たまにちょっと煽っちゃうんだ『音源は出さないのかい?』ってね。そしたら息子が『そんな金あるわけねーだろ』ってムッとしながら出かけてっちゃってさ、でも仮にあたしがポンと用意できるような額だとしても絶対あたしは出さない。『分かってて言ってんだろあのババア…』って悔しさでたった一曲でもいいから自分達でレコーディングまでたどり着いてほしいんだよ。親の願望押しつけてるんだよ、分かってるよ、でもさ、自分がやってたから理解できる子供の趣味を全力で応援したいってそんなに悪いことなのかい?もちろんチケットはちゃんと買うよ。ファンとして売り上げに貢献するのは当たり前以前のことだよ?」
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