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貴方の影が私の視界を黒く覆う。貴方の広い背中に遮られ、小さな灯りは行方をくらませてしまう。 浅ましい私の目を射る光明は、いつだって蜘蛛の糸の様で細く弱く頼りない。常より真直ぐに上ばかりを見ている貴方などに、如何してそれが見えようか。そう貴方には糸を手繰り寄せる意味も、必要もなかった、貴方の見通す世界にはいつだって眩い光が満ちているというのに、それなのに貴方は如何して私を振り返る。 手繰り寄せる意味ならば確かに必要はない、唯、わたしはお前を愛しているなどと諳んじる。
満月をながめていたら 道に迷ってしまった 二本足の狐が くらがりからわたしを手招きする ついていこうか やめようか かんがえているまに 足がかってに歩きだす 狐はずんずん前をゆく 足の裏がつめたい 靴がぬげたんだ それどころじゃない わたしは狐になっていた ああ…そうだった やっと思いだした 満月の晩に きっとむかえにくるって いつかあなたが云ったことを