青森・田村ファミリーのすごすぎる手作り生活 PART4「食事は原始的に、火だけで作る」編
青森県にすごい家族がいる。
過去に何度もテレビで取材され、「超節約家族」「究極の0円家族」「自給自足家族」などのキャッチフレーズで紹介された。
わかるとおり、田舎で自給自足生活を送る家族だ。
書籍『都会を出て田舎で0円生活はじめました』の中から、田村一家のすごすぎる手作り生活の様子をシリーズでお届けしている。
今回は、電気ガス水道も自給自足で賄う田村ファミリーの食事作りの様子をお届けする。
みなさん、はじめまして。僕の名前は田村余一といいます。
我が家は、青森県にあるとある平屋。家主である僕と、妻である嫁さん、そして息子の3人暮らしをしています。 よその家とちょっと違うのは、その家がぜんぶタダでもらった廃材でできていて、建てたのは大工さんではなく、家主自身が1から建てた手造りの家だということ。 そしてもう一つ違うことといえば、我が家では電気・ガス・水道を契約していない。スーパーでの買い物もあんまりしない。ほとんどお金を使わない生活だということだ。
えっ、それで生活できるの? と思うかもしれない。 できる!家族3人、充分に生活できている。そんな僕たちの「手作り生活」の様子を、書籍から抜粋してご紹介させていただきます。
煮炊きに電化製品は使わない
電気・ガス・水道を契約しない暮らし。中でも「食」の煮炊きを支えるガス=火はかなり重要だ。地球上の生物で唯一、火を扱うことができる人間。加熱調理は胃への負担を減らす。
温かい食べ物から得た余剰エネルギーは肉体の維持・成長のみならず、脳にも多く使われ、知能の進化を加速させたという。つまり、火こそ人類のチカラの源! とも言えるのだ。
現代では、様々な家電製品がズラリ。その気になれば調理のすべてを電気でまかなうことができるけど、いやいや待ってよ、そんなことしてたらソーラーパネルが一体何枚必要になるのさ! ってことで、我が家での煮炊きはほぼ100% 薪などの木質燃料。火を見ない日は365日、1日もない。毎日毎日、火、火、火だ。ヒッヒッヒ!
火の良いところはなんと言っても、原始的であることだろう。
家電製品はボタン一つで済む反面、電気的な(電源自体の)トラブル、内部の故障には恐ろしくモロい。100が一瞬で0になる。
その点、原始的な火は、点火さえできればあとは燃料の薪を焚く べていくだけで調理が可能だ。突然の停電も、機械の複雑故障もなんのその。災害にも強いから安心感も大きい。取り扱いには十分注意が必要だけどね。マッチ一本、火事の元だ。
木質燃料を使う調理器の代表格は、やっぱり薪ストーブだろう。暖房&調理を一度にこなすことができる冬の我が家の必須アイテムだ。ガンガンに熱したストーブの上にヤカンを載せておけばカンタンに湯が沸く。加湿器にもなるし、一石三鳥だ。
しかし問題は夏。暑い夏に薪ストーブなんて焚いちゃったら、調理現場は汗だくのサウナと化す。かといって昔ながらの竈かまどは土間が必要になるし、結構な場所も取って大がかりだ。漏れ出るムンムンな熱気の影響も否めない。
うちのコンロは、ロケットだ!
そこで登場するのが「ロケットコンロ」。ガスコンロ並みに火力を一点集中できる優れものだ。しかも材料は廃材とホームセンターにあるもの。ボディにペール缶と一斗缶、燃焼筒には煙突(L字とT字、ストレートの3種)、断熱材に園芸用のバーミキュライト、そして五徳があれば半日もかからずにロケットコンロは完成する。手慣れてくれば1時間ほどで作れちゃうだろう。
焚き口で火をおこして少しアイドリング。頃合いをみてウチワで炎を燃焼筒に送れば、あら不思議、炎は煙突にギュギューンと引き込まれて五徳の先から吹き上がる。
その様子は、さながらロケット。面白いように火が吸い込まれていく。しかも煙はほとんど出ない。燃焼筒内で二次燃焼を起こすので、ムダなく煙成分まで燃やし、少ない薪で最大限の火力を生み出す。ボディを断熱することで熱が分散されず(周囲が暑くならない)、効率的に対象物を温められる。まさに原始と科学の融合。初めて目の当たりにすればきっと感動するよ!
燃料の薪は小枝が大活躍。薪ストーブじゃ燃料として心許ないような細い枝や竹を有効に活用できる。我が家では焚き口に入る有機物ならなんだって乾かして入れちゃう。トウモロコシの茎やイガ栗とかもね。もはやそのへんにあるものみんな燃料に見えてくる。
さらにうちのロケットコンロの焚き口はタテ型。多少長い薪でも上から焚べて、あとは重力に任せて燃えてもらう(ヨコ型だと薪を奥に押してあげる必要あり)。
デメリットとしては、焚き付けのときにどうしても煙が出ること。それゆえに屋内に設置しちゃうと数日で天井が煤で汚れてしまう(我が家は屋根付きのウッドデッキに設置)。
耐久性も高いわけではなく、我が家みたいに日常的に使っていれば半年ほどで焚き口や燃焼筒の煙突(L字やT字)がボロボロになってくる。
それだけ火力が強いってことでもあるんだけど、その交換作業をするにあたり、いったん全部を分解しなくちゃいけない。これが小慣れてくるまでまぁまぁめんどうくさい。だから僕は製作時期をずらしたロケットコンロを2基常設。ローテーションで使用して、常に予備基がある状態をキープしている。
なにより僕が好きなのは、火が燃えているときの様子。勢いよく上がる炎を見ていると自ずとテンションが上がってくる。
永きにわたって火と共に暮らしてきた先人からの遺伝的な影響なんだろうと思う。現代人が火と暮らさなくなってから、実はまだ100年も経っていない。縄文時代の暮らしは1万年も続いたというけど、そばに火があるっていうのがDNA的にもしっくりとくるんだろう。
そんなことで毎日毎日コツコツと、その日暮らし、いや、「その火暮らし」させていただいてます。
▼実際のロケットコンロの様子はこちら
本を読まない人のための出版社 サンクチュアリ出版
https://www.sanctuarybooks.jp/