一生残る こころのきず
「一生だよね、このこと」
久しぶりに、以前一緒に働いていた友人と話をしました。
その友人の祖母が高齢者施設に入居することになり、そこで心ない
介護を受けてショックを受けていました。
おむつを外すから、つなぎの服を着て、どこへ行くか分からないので部屋に鍵をかけられていました。
面会のたびに身体にあざが増え、尿臭がしたままの衣類でした。
そこで、私たちが20年前に実際していたことを振り返ったのです。
何してたんだろうね、私たち。不適切なケアをされた方も傷つき、そして
同じく不適切なケアをしていた私たちも、一生消えないこころのきずとなって苦しんでいます。
ベッドの柵に手を縛り、つなぎの服に鍵までついていました。
夜中に大きな声を出す方に、強い睡眠薬を投与していました。
歩ける方もおむつをしていました。
ご家族も、「できる限りのことはしてください」と延命を望むことが当然で、延命を拒否することがむしろ批判される時代でした。
そんな時代を経験したからこそ感じる、今の認知症ケアのあり方。
今度は絶対間違えないように、これ以上お互いの心にきずを残さないように。
そう友人と誓ったのでした。