八支則のヨーガ 3【アーサナ】
アーサナ 座る姿勢
アーサナからの3つの支則(アーサナ、プラーナーヤーマ、プラッテャーハーラ)は、そのあとの瞑想に必要な考えを整える鍛錬と言われます。
アーサナは直訳すると、「座ること」あるいは「座るための物」で、敷物や座布団のこともアーサナと呼びます。
現代の私たちにとっては、アーサナというとヨガのポーズの練習というイメージが強いですが、ヨーガスートラでアーサナについて言われることはシンプルです。
あくまで目的は瞑想のためで、体の不調、不快感が瞑想の妨げとならないよう、瞑想に集中できる程度に快適に座れれば問題ないとされます。
「座り方はパドマーサナがよい」とか「手はチンムドラーを結ぶのがよい」などと、座る姿勢についても特に言及されていません。
伝統的には、48分間(=「1ムフルタ」という時間の単位)、同じ姿勢で快適に座れることが望ましいとされ、それができる人は「アーサナ・シッダ(座法を達成した人)」と呼ばれます。
先生によっては、瞑想は一回20分程度で十分で、その間体に煩わされずに座っていられればよいとも言われます。
「安定して快適に座れればよい」とは言われますが、坐禅などをしたことがある方はお分かりのように、たとえ10分でも、体のことを全く気にせずに座るというのは思う以上に難しいことです。
目を閉じて2, 3分も座っていれば、「背中が痛い!」「脚が痛い!」「腰が痛い!」と体(と一緒になった考え)は騒ぎ出します。
座るために必要な最低限の筋力や体力がないことも現代では決して珍しくありません。
パタンジャリがヨーガスートラを記した頃の人たちの生活は、川で水を汲んだり、薪を集めてきて火を起こしたり、日々暮らすことが十分な運動だったはずなので、座るための特別な運動は必要なかったのだと思います。
一日の大半をオフィスで座って過ごしたり、どれだけ近くても移動は車というような生活だと、ただ「座る」にもそれなりの準備、運動が必要となり、それには現代のアーサナ・ヨガはぴったりな修練だと思います。
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