『世界はひとりの、一度きりの人生の集まりにすぎない。』 林伸次
新刊を発売と同時に購入する、なんて初めてかもしれません。
私は3年半ほど前から氏のnoteを購読していて、氏のnoteを毎朝読むことがルーティンになっています。
氏がどれだけこの本を書くことに思い入れがあるかはnoteの端々から読み取れていました。が、ミュージアムショップ等での一期一会以外、小説等は基本的に図書館等で借りて一度読み、本当に手元に置いておきたいものだけ購入する主義の私。直ぐに購入するつもりはなかったのですが。
まずはタイトルにしびれてしまいました。
私が常々漠然と思っていたことをこんな風に的確に、そして素敵に表現出来るなんて。俄然読みたくなりました。
「一度だけ」ではなく「一度きり」という言葉を選んでらっしゃるのにもグッときました。
句読点「、」をどこにつけるかでも印象が変わったでしょうね。
タイトルが琴線に触れまくった本は山田詠美の『明日死ぬかもしれない自分、そしてあなたたち』以来です。
『世界はひとりの、一度きりの人生の集まりにすぎない。』は15の短編で構成されていますが、話が絶妙な感じに少しずつ繋がっています。
購入した当日に一度読み切り、世界観にはまり、この中の幾つかは絵本にしてもよいのではないか、等と想像したり。
氏の本は今まで台湾でも中国語で出版されていて、翻訳者はかなり台湾で有名な方なのですが、趣味でファンタジーテイストな素敵な絵を描かれているのです。
この本もきっと台湾で翻訳本として売られる日が来るとは思うのですが…例えば彼女が翻訳して挿し絵も描いたら素敵な絵本になるんじゃないかしら、なんと言っても原作を正確に読みこんで伝えようとするのは翻訳者なのだし、等と勝手な妄想を抱いたり。台湾の絵本が大好きで、本屋に入っては何時間も絵本をながめていた私は最初そう思ったのですが。
でも2回目に読んだとき、やはりこれは大人向けののファンタジーで挿し絵は不要で文字だけあればよいのではないか、と。挿し絵があるとどうしてもそこに目がいって自分のイメージが掴みづらい事もあるかも、等と勝手な事を思ったり。
また、先日とある会でたまたま大人向けの絵本を出版する仕事をされている方と出会った影響で、大人向けの絵本なら良いのかも?と思ったりも。夏目漱石の『夢十夜』が大好きなのですが、大人向けの絵本ありますもんね。
久しぶりにドツボな小説に巡り会えたので、本の感想から随分とズレた事を書いてしまいました。
近いうちに氏のお店で色んな創作エピソードをを伺ってみたいです。