ぽっかり浮かぶ雲のように漂いたい。何も言わない。何も考えない。
「私的回想」
24 × 17.5 ㎝ 油絵具 / テンペラ乳剤混成 板 2016
雲が好きです。自然という神が水蒸気で造るあの自由気ままなカタチ。 記憶と空想の境界に漂うあの素晴らしい雲。
好きな詩の一編にアルチュール・ランボオ「サンサシオン」があります。 フランス語で「感覚」「感触」などという意味だそうです。 金子光晴の訳詩がたっぷりとした空気感を醸し出し、格調高い上質なものとしているのだろうとも想います。 以下。
「Sensationサンサシオン」 アルチュール・ランボオ
夏の爽(さわ)やかな夕、ほそ草をふみしだき、
ちくちくと麦穂の先で手をつつかれ、小路をゆこう。
夢みがちに踏む足の、ひとあしごとの新鮮さ。
帽子はなし。ふく風に髪をなぶらせて。
話もしない。ものも考えない。だが、
僕のこのこころの底から、汲めどもつきないものが湧きあがる。
さあ。ゆこう。どこまでも。ボヘミアンのように。
自然とつれ立って、――恋人づれのように胸をはずませ……
( 金子光晴 訳 『ランボオ詩集』より )
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