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映画『ザ・コールセンター』 ーあなたはこの展開についてこれるか?! そして独特に描く、現代への警鐘ー

SNSなど、インターネットの発展によって新しい出会いが増えつつある昨今の時代。特に、恋愛ではマッチングアプリが人気を集めるなど『気軽に会う』ことを求める若者もいるのではないでしょうか。

一方で今を生きる人々にとって情報社会が便利とははっきり言えないかもしれません。マッチングアプリをとっても、その情報が果たして『真実か、それとも嘘なのか』は会ってみないとわからないもの。

そんな時代だからこそ、あなたにも見てほしい作品が、
今回ご紹介する映画『ザ・コールセンター』です。

ザ・コールセンターで働く一人の女性。いつものように働いていたのですが、ある電話をきっかけに衝撃の展開が・・・

欲望に従って起こる行動が生み出した先にある現実とは。さらに最後に見せた彼女の姿とは一体・・・

映画『ザ・コールセンター』を深堀り!
ネタバレも含みますので、SAMANSAで作品のチェックも忘れずに!



<作品時間> 16分
<監督> Louisa Connolly-Burnham

【あらすじ】
生命保険会社のザ・コールセンターで働く一人の女性・ペイジ。
彼女は会社である男性が気になっていたものの、他の女性と良い雰囲気になっている事を知りため息。まさに恋愛とは無関係の日々を送っていた。いつものようにヘッドフォンをつけ、仕事に励むペイジ。そんなペイジに男性からの一本の電話が。話を始めると、電話越しに聞こえる男性の甘い声に惹かれていくのだった。何とか電話を終えたペイジだったが、彼女はそのあと驚きの行動に出る・・・。そして、その行動の先に待っていた現実とはいかに・・・!



◎欲望に駆られる人間のリアルな会話に引き込まれる

誰しもが経験したことがあるであろう『人間の欲望』の葛藤。恋愛に関しても、もちろん恋愛以外でも多くの人が感じたことがあるでしょう。

恋愛ともなれば「好きな人であれば、なりふり構わず行動をしてしまう」といった光景もよくある話です。

ある一本の男性からの電話に対応するペイジ。映画ではその会話の様子がとても鮮明に描かれています。そのシーンはまさに『心を奪われる』といった表現がぴったりなほど。

最初は、いつものようにマニュアル通りに話を進めるペイジではありましたが、ある言葉がきっかけに話は急展開に・・・

「ペイジさんはおいくつなんですか?」

明らかにいつものコールとは違った展開。しかし、ペイジはあまり戸惑った様子を見せることはなく、自然に、むしろ興味を持ってくれたことに嬉しさも感じているようです。

手を差し伸べてくれたようななんだか嬉しい感覚に止まらなくなるペイジ。欲望が止まらなくなった彼女は、言葉巧みに男性の所在地を確認するのでした。

電話をする前と終わった後のペイジの姿はまるで別人のよう。ばれないように周りを見渡す様子や手に住所を書き写す姿は、まさに人間が欲望を抑えられなくなったそのもの。

ずっと映されているペイジの心情、それが変わっていく展開にあなたも引き込まれてみてください。

冒頭数分後に始まる、約3分にも及ぶ電話のシーンには注目です。

◎16分に込められた予測できない展開に振り回される・・・!?

仕事を終えた後、メモをした住所へ向かったペイジ。新たな出会いがあると期待し、その思い通りに男性と会うことができたものの、家に置いてあったのは家族の写真でした。

男性は結婚しており家族がいたということ。

そしてここから一気にペイジの期待は裏切られます。予想外の展開に慌てて帰ろうするもそれを引き止める男性。やがてレイプをされ、その先に待っていたのは、防衛本能で男性を包丁で殺してしまう始末。

電話の時に思い描いた展開とは全く別物でした。

その後、ソワソワしながら会社で働くペイジ。そして、突然かかってきた、殺害してしまった男性デイビッド・プレスコットの保険金を請求する電話。

しかし、なんとその電話でペイジがもらった言葉は・・・

「因果応報って知ってる?」
「あいつは悪いやつだった」
「お話できて光栄です。ありがとう。」

なんとペイジが男性を殺したことを感謝をされたのです。この言葉によって180°表情が変わったシーンはとても印象的!

男性を殺害してしまった事実が、まさかの感謝されるという誰もが予測できないであろう急展開。

16分というショート動画といえども見事な脚本です。


◎最後に見せた意味深なペイジの姿とは

鑑賞者に余韻を残こす、何ともいえない最後の描写。

いろんな彼女の姿が垣間見れたような瞬間だったのではないでしょうか。

最初の時点で彼女は、ザ・コールセンターの中でもバリバリ仕事をこなすような感じでもないタイプ。つまり、あんまり人に貢献することで感謝されるようなことがなかったのかもしれません。

そもそもザ・コールセンターは、決まった内容で話を進める機械的な会話をするような場所とも考えられます。

殺人をしてしまったことで得られた思いがけない感謝】によって彼女が得たものは「達成感」や「自信」による一種の快感のようなもの。

その快感が次の欲望を動かすのかもしれない・・・

この物語を通じて、ペイジのあらゆる描写や男性の声など『エロさ』も鮮明に描かれていますが、全ては『人間の欲望の先にある快感』に繋がっているのかもしれません。

『快感』や何か特別な感情を得た最後のペイジの姿は、サイコパスをも感じさせるような奇妙な面白さがあります。

また違った視点として、ぜひ注目してほしいことが『因果応報』という言葉。

この言葉の意味は「過去の行為の善悪によって現在の幸・不幸の果報があり、また現在の行為によって未来の果報も生じる」ことをいいます。

つまり『ペイジの男性を殺してしまった出来事が結果的に感謝される良い行いとして認められた』=『未来に果報が生じる可能性もある』

つまり最後のシーンで見せた前向きな姿は、何か未来に期待をしたことによって得た姿のシーンとも考えることができるのではないでしょうか。


◎現代社会にも伝えられる一つの『警鐘』とも言えるか?

冒頭にもお話をさせていただいた現代の情報社会。誰とでも気軽に会うことができるようになった現代は、便利になりつつあると共に危険も隣り合わせな状態ともいえます。

マッチングアプリのように、ひょんな事で知らない人と会いたくなる、そして実際に会ってみるといった展開は今回描かれた『ザ・コールセンター』の物語と似たような部分も。

やはり先に待っている現実がどんなものかは検討がつかない・・・

大切なことは、確かな情報をもとに判断をすることかもしれません。今ではありふれてしまった情報を取捨選択することは必須のスキル。

ですが、今回の作品のように『欲望との葛藤』や『都合の良い期待をしてしまう』などにはとても共感できるところがあります。

また、この映画の大きなメッセージともいえる『因果応報』という言葉。

今回は個人情報を使うというルールを破った結果、もたらした男性を殺すという現実。

そして男性が家族を裏切る行為をした結果、もたらした殺されるという現実。

結末は「彼女が殺してしまったことは結果的には良い行いだった」と少し複雑な展開になっていますが、すべては因果応報につながっているということ。

何か日々の自分自身の行動を見直してみたくなるような、そんな作品にもなっていますね。

ハラハラ、ドキドキだけでは終わることのできない。紐解けば隠されたメッセージを考えさせられる、そんな映画『ザ・コールセンター』はSAMANSAで絶賛公開中です。

ショート映画とは思えないたくさんの展開にあなたも引き込まれてみてください!

<映画ライター/ shuya>

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