アンビバレントな真犯人【真犯人フラグ 最終回考察】
河村俊夫は悲しきジョーカー
『真犯人フラグ』とは、2021年10月10日から2022年3月13日まで日本テレビ系列の「日曜ドラマ」枠で放送のテレビドラマ。主演は本作が日テレの連続ドラマ初主演となる西島秀俊。企画・原案は秋元康、脚本は高野水登が務めた。
「真犯人フラグ」とは河村俊夫の人生転落ストーリー
真犯人フラグが最終回を迎えて、真犯人が河村だと判明した。
真帆を手に入れ、小説を書くことへの才能があるのにそれをいとも容易く捨てることができる。
そういう凌介という人間を許せなかった。
ヘラヘラと笑って幸せそうに生きているのが許せなかった。
そうであると同時に作家・相良凌介の大ファンで、最終回で難読漢字を指摘されて自身の書いた小説だと見破られた時にはとても嬉しそうに笑い、続きはお前が書いてもいいと言う。
河村の動機は、真帆への愛は勿論のこと、凌介への歪んだ愛でもあった。
凌介の才能への底なき羨望、嫉妬が河村の全ての行動の原動力であった。
「アイデンティティ」の消失
そこには、子どものまま大人になってしまった被害者としての河村がいる。
自分が上手くいかないのは「誰かのせい」と思い続けた結果、一線を超えてしまった。
そんな河村の人生を決定づけてしまったのは紛れもなく凌介だ。
真帆のことが大好きだった。
小説を書くことには自信があった。
それを全て凌介に奪われてしまった。
ここにアイデンティティの消失がある。
(アイデンティティの消失→自信をなくす→自分の不幸は「誰かのせいだ」、から抜け出せなくなる=子どものまま、という論理です。)
日本で一番売れている週刊誌の編集長になっても心が満たされない。
河村の心の闇は思っているよりも深く底が見えない。
この河村と対比になっているのが二宮だ。
二宮もネガティブな憎悪が原動力となっていた。
しかし、一線を超えなかった。
なぜなら、凌介がいたからだ。
凌介の底抜けにお人好しな性格が二宮を変えていった。
凌介がいたから一線を超えた河村。
凌介がいたから一線を超えなかった二宮。
この対比はとても面白いと思う。
真犯人フラグとは、ネガティブに支配され、二律背反の悪役=ピエロになるしかなかった河村の人生転落ストーリーなのだ。
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