断髪小説『行き交う 前編』
あらすじ
小説情報本文 部屋の片付けがひと段落して、髪を一つに纏めていたシュシュを外すとふわりと背中に広がった。高校を卒業して上京したばかり、春から大学生だ。実家から持ってきた荷物や家具で簡単にこのワンルームの部屋を埋め尽くしていた。
東京駅から二つの路線を乗り継いで、降りた駅から十分ほどの歩いた場所にある学生街の変哲のないワンルーム。東京駅に着いてここに辿り着くまでずっと驚きの連続だった。歩く道はどこまでも舗装され高い建物ばかり、そしてどこを歩いても人がいて年齢も服装