「不思議な薬箱を開く時」
こんにちは、
「不思議な薬箱を開く時」です。
人間、贅沢といいますか、
苦しみや痛みから逃れるだけではなく、
それ以外の何かから逃れるためにも、
途方もない努力を続けていたようですね。
では、今日も、お薬箱を開けてみましょう。
お薬番号・39
「水で泥酔できる薬」
水で酔えるとしたら、
これまた、安上がりですね。
ただの水道水が、いいお酒として味わえるうえに、
しっかりと酔払えるのです。
聖書では、キリストが水を上等な葡萄酒に変えたという、
奇跡が描かれていますが、
酔っ払えたかどうかまでは、記されていません。
このお薬を服用して、普通のお水を飲むだけで、
酔っ払って、羽目を外すことができるとすれば、
飲み代いらずで、大盛り上がりです。
このお薬は、ローマ時代に、
テーバイの医聖、テオクレトスが、
ハーブやその他の薬剤を使って、
製剤に成功したというものです。
高級な酒や、珍しい酒にこだわり、
家臣や部下たちを困惑させていた皇帝、
コモクレシスに対して献上させたのが、ただの水。
しかし、前もって、このお薬を服用させていたため、
皇帝は、大いに酔い、
味わったことのない美酒だと大変喜んだとか。
たしかに、ただの水ならば、
身体を壊すことも、なさそうですね。
アルコール中毒なんて怖い事態も、避けられます。
家計も大助かりの上に、
水分もたくさん摂れて、健康にも良さそうです。
では、調剤料をご紹介しましょう。
「水で泥酔できる薬」処方
ベニテングダケ・・・・・・・・・・2本
ベラドンナの根汁・・・・・・・・・小匙2杯
イヌハッカの実・・・・・・・・・・5個
ダチュラの実・・・・・・・・・・・6個
ヒヨスの花・・・・・・・・・・・・3個
トケイソウの根汁・・・・・・・・・大匙2杯
琥珀末・・・・・・・・・・・・・・小匙1杯
諸注意
ベニテングダケは、よく乾燥させてから、
水から陶器製の鍋で、
半分以下になるまで煎じましょう。
イヌハッカの実とダチュラの実は、
丁寧に磨り潰します。
琥珀は、微粉末状が最適です。
ダマにならないよう、よく練ってください。
備考欄
たとえ水であっても、
かなりの泥酔状態になりますので、
節度は保った方が良いと思われます。
ましてや、水を飲んでですから、
知らない人たちからしてみれば、
素面で、とんでもなく羽目を外しているようにしか見えません。
酔った上での無礼講ということで、
渋い顔をされながらも、許されてしまうとはいきませんので、
薬を服用していることをわかっているメンバーを
集めるべきでしょう。
そうすれば、お金がかかるのは、
つまみにするお料理だけ。
あとは、水道水で、乾杯!
好きなだけ、飲みまくって、
翌日も、二日酔いなし!
まあ、多少、水の飲み過ぎで、
胃が苦しいくらいでしょうか。
それにしたって、毒ではありませんから。
これは、調剤の甲斐がありそうですね!