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2024年に読んだ、よかった本!!!

この記事は「積読チャンネル非公式 Advent Calendar 2024」の18日目の記事です。
昨日の記事はna03さんの「今年を振り返って」、明日の記事は路日子さんの「初めて読んだ本」です。

2024年は積読チャンネル&積読サロンに出会って、急速に積読(!)を早めた一年になりました。大量の積読本たちの中で(ごく一握りの)読めた本のうち、今年読んで良かった本をご紹介できればと思います!


写真への価値観を劇的に変えてQOLを底上げ

1冊目は、積読チャンネルがきっかけで知った幡野さんの『うまくてダメな写真とヘタだけどいい写真』。
カメラを始めるきっかけをくれた、今年1番自分の行動を変えてくれた本、と言ってもいいかもしれません。

登山や花が好きで、「この景色を、見た通りに綺麗に撮れたら良いなぁ〜」と思って、iPhoneで撮るのですが、いつも「うーん、何か違うんだよなぁ……」と思ってました。
とはいえ、「本格的なカメラは、よく分からないし、難しそうだし、どうせできない…」と敬遠してました。

そんな折に積読チャンネルで紹介されたこの本。動画を見た時は面白そうな本だなーという感じで、その場ですぐに本を買ったわけではありませんでした。
その後しばらくして、地元の書店をぶらぶらしていた時に、たまたまこの本を発見しました。これも何かのご縁だと思い、その場で購入しました。

早速読み始めると…面白いのなんの!!!

写真やカメラという自分にはすごく縁遠かった存在が、急速に身近になる感覚がありました。印象に残った部分をいくつか紹介します。

・写真はうまくならなくていい。ヘタだけどいい写真を目指した方が圧倒的にいいです。(p.33)
・「好きなものを撮る」は「思わず見たものを撮る」でいいんです。見たものを撮ればいいだけ。(p.51)
・カメラはデザインで決めればいいです。カワイイとかカッコいいとかでいいと思う。そうじゃないとカメラを持ち歩かない。まずはカメラのことを好きになる。(p.181)

『上手くてダメな写真とヘタだけど良い写真』

など、「ああ、なんだ、そんな感じでもいいんだ!」と思わせてくれ、カメラを始めることへのハードルをグッと下げてくれました。

その後、まずは中古で気に入ったデザインのミラーレス一眼を買い、最近は写真を撮るために出かけることも増えました。日常の風景でふと「あ、綺麗だな」と気づくことが増えて、QOLが上がったなと感じる瞬間でした。

本の世界にとどまらずに自分の世界を広げてくれる読書体験でした!

最近撮った写真①
最近撮った写真②

カメラについて、下記noteにも書いてますのでご興味があればぜひ。

スマホ時代、常時接続状態の生き方を考える

2冊目は谷川嘉浩先生の著作で、
スマホ時代の哲学失われた孤独をめぐる冒険』です。
谷川先生の本が私にはすごくドンピシャで、過去の自分の経験の答え合わせをしているような感覚になりました。

この本では、「スマホ時代」「常時接続」をキーワードに論を展開していくのですが、現代人の傾向や考え方を見抜いた上で、これからの時代を生きるヒントをくれる内容だと感じます。

君たちは自分自身を忘れて、自分自身から逃げようとしている

フリードリヒ・ニーチェ『ツァラトゥストラ』

谷川先生はニーチェのこの言葉を引用しながら、自分と向き合わないこと、自分自身から逃げることについて語っています。
正直私も、自分自身と正面から向き合うことが怖いし、自分を変えたくない自分もいるな、と思っている中でこうやってズバッと言われると、ぐぅの音もでません。

暇な人よりも予定があって忙しい人の方がなんだかカッコいいし、充実してる感じがするし、いいじゃん!…と思ってましたが、それは自分のことを置き去りにして忘れて、考えないようにしているのと同義だと。
特に現代人はスマホを持つことで、音楽を聴きながらゲームしLINEを返信し…のような常にマルチタスキング状態。人と常時繋がることを求められ、一人の時間は失われて、自分のことを考える時間なんてない。そんな状況です。

そんな現代人たちに谷川先生は、ネガティヴ・ケイパビリティを持つことを勧めています。
ネガティヴ・ケイパビリティとは、「モヤモヤ」を抱えておく力です。

難しいものからは目を背け、分かりやすいもの、簡単なものだけを取り入れたり、何か話を聞いても「自分のわかる範囲」に押し込むことは、もはや曲解であり、本当の理解ではありません。

ネガティヴ・ケイパビリティを知って意識したことは、分からないことは分からないままでもいい、いつか分かるようになるまで、自分の中に保存しておこうと思うようになりました。

ひたすら情報を摂取して、いつか繋がればいいな、くらいの気持ちであまり分からない本も気軽に読むようにしたのですが、他の本を読む中で「いつか」どころか「すぐ」にどんどん繋がる体験も多くて、面白いなと感じています。
(「ネガティヴ・ケイパビリティ」の言葉自体にも、三宅香帆さん『「好き」を言語化する技術』の本で早速再会して「おおお!」となりました)

本の内容は全体的に、哲学に詳しくない人でも分かりやすい言葉で説いているので、大変読みやすく、哲学に興味を持つきっかけになる本なのではないか、と思います。
人生にモヤモヤを抱えている人とかにはすごく刺さるものがあると思います!

谷川先生の切り口や考え方が好きで、自分には刺さったので、同じ谷川先生の著作だとこちらもおすすめです。
人生のレールを外れる衝動のみつけかた

自己評価がすべて。自己評価を知り高める方法を伝授してくれる一冊

3冊目は、『自己評価の心理学』です。
個人的に心理学を勉強しているのですが、勉強というより純粋に「私のための本ですか?!」と思うくらい、私にとってドンピシャな本でした。
エビデンスや著者がインタビューした内容を元に構成されており、非常に信頼できる内容にもなっています。

内容を結論から言うと、自己評価が自分の価値を全て決めています。
どれだけ不幸な出来事が起こっても幸せな人はいるし、周りから見たら羨む幸せな出来事があっても不幸な人はいるのです。

本当に自己評価が高い人間は権力も栄光も求めない。ただ、幸福を求めるだけだ。

『自己評価の心理学』p.184

自己評価さえ高ければある程度満足度の高い人生を送れるし、逆にどんなに恵まれても自己評価が低ければ一生不幸だと感じたまま生きることになる。

ただ、自己評価が低いことがダメかというとそうでもなく、利点もあります。
①人から受け入れられやすい
②人の意見や忠告を取り入れることができる
③謙虚であること
上記の点は、周りとうまくやっていく上では、自己評価が低いことが利点になると考えられます。だから、自己評価は高すぎず低すぎないバランスをとって保つことがベストなのだと思います。

自己評価が低くなる理由

自己評価が低くなる理由は様々ありますが、自己評価を決めるキーワードとして「愛されている」「能力がある」の2つがあります。愛されていても能力を認められない、能力はあって結果が出ていても愛されてないと感じる、のいずれでもバランスが悪く、自己評価を保ちにくいです。

特に、家庭内の環境、両親との関係は大きな要因になりやすいです。
本の中にある例としては、子供の自主性を認めない、日常生活の細かいところまで言う、言葉による暴力を振るうなど、こういった環境下に置かれた子供は自己評価が低くなりやすいです。

実際、著者が話を聞いた体験者の声が載っているので、苦しさや辛さなどを共感しながら読めるため、体験していない人も理解につながりやすいです。

自己評価を改善するために

自己評価の改善に、本の中で参考になって、早速実践している内容は下記です。

達成のしやすい目標
・自分の意志でできることを目標にする
・定期的にできることを目標にする
・現実的なことを目標にする
・具体的なことを目標にする
・自分の好きなことを目標にする

『自己評価の心理学』p.335

言われてみれば当たり前の内容なのですが、会社の評価制度で目標を立てないといけない場合に、わたしは上記に当てはまってない目標を立ててしまい、結局できなくて落ち込む…みたいなループを繰り返してました。
これを意識した目標を立てたら、以前よりも前向きに取り組めたので、おすすめです。

他にも自己評価に関する考え方や改善の仕方が多数載っており、面白かったですし、これからの人生でかなり使えるなと思う本でした。心理学や教育などに興味のある方にはぜひおすすめしたい一冊です。

"人が一人生きるとは"を考える。事実は小説よりも奇なりな物語

4冊目は、『ある行旅死亡人の物語』です。
積読チャンネルの紹介で知った本で、ホラーや心霊話が好きな自分的にはサムネで惹かれて見た回でした。ノンフィクションは普段あまり読まない部類だったのですが、この本でノンフィクションの面白さを教えてもらいました。

あらすじとしては、
高額な資産を残して孤独死した身元不明の女性が孤独死して…
という圧倒的な引きのある導入から始まります。謎を少しずつ解明していくストーリーは、「事実は小説よりも奇なり」をまさに体現しています。

本名も身元も分からない正体不明の人に迫っていく過程で、亡くなった女性宅にあったものを徹底的に調べたり、女性の出身地の人に聞き込みを行うなどして、地道に生前の女性の姿に迫っていきます。

最初は誰だか分からなかった人が、だんだんと1人の女性として輪郭ができていき、女性の幼少期を知る知り合いからの話は、亡くなった女性が1人の人間として「生きていた証」を伝えてくれます。

この過程を読んでいて「たとえ孤独死していようと、一生独りで生きている人なんていない」と思いました。独りで生きているように思っても、多少なりとも他者の中で生きている。

たった1人かもしれないけど、その1人が存在し、他の人に影響を与えることで、この世界が作られていくーー

当たり前のことなんですが、そんな風に思いました。どんな人でも、生まれたからにはこの世界の必要なピースとなり、その人がいるから、今この世界がこの形になっているのです。

生きていると「自分なんていらないんじゃ…?」と思う時があるのですが、心が弱ってる時にそう錯覚するだけで、過去や未来を含めたら、たくさんの人が自分のことを知ってくれていて、「ああ、独りではなかったんだ」と教えてくれる本でもありました。

ノンフィクションであることもあり、解明しきれない謎も残るのですが、本の最後には涙が出てくるくらい心を動かされる内容でした。
下記noteにも感想を書いてますのでご興味があればぜひ。

読書とは、知らない世界への招待状

最後、5冊目は、三宅香帆さんの『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』です。
先に三宅さんの『「好き」を言語化する技術』を読んでいて、読みやすくて面白くタメになったので、話題になっていたこちらも読んでみました。

読書と働くことを並べて語るのが新鮮な試みで、さらに「読書」の変遷の観点は今まで考えたこともなかった内容で面白かったです。タイトル通り「働いていて本が読めない人」に三宅さんが伝えたい内容が詰まった一冊でした。
本書で特に印象に残ったフレーズがこちらです。

自分から遠く離れた文脈に触れることーーそれが読書なのである。

『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』p.234

これは、私が読書に求めることをずばり言い切っていてくれていました。読書は、普段自分が触れることがない、知り得ない世界に、時代をも超えて気軽に招待してくれるツール
特に、働いてる人ほど読書が必要なのはとても実感していて、私も仕事に全力コミットしていた時期は、仕事ですぐに役に立つ本は少しは読むものの、そうではない本はほとんど読めませんでした。

でも最近は、仕事に役立つか分からなくても、純粋に面白そう!と思った本を読むようにしたら、視野が広がり、見えなかった世界が見えるようになって、心や感性がより豊かになったような…気のせいかもしれませんが、そんな気がします。

だから、読書(積読)好きが集まり、自分が知り得ない本をたくさん教えてくれる積読サロンはやめられないのですよね…


今年は色々な本に出会えて、幅が広がったなと感じる一年でした。積読チャンネルや積読サロンで紹介される本は、まだまだ自分の知らない世界がある!と無知の知をまざまざと自覚させられるのですが、今ではそれが面白いなぁと思えています。

シンプルに締め切りに間に合わず収まらなかった他の紹介したい本もたくさんあったので、年末とかにまた投稿する…かも?!

来年も良い本に出会えることを楽しみにしながら、もしくは、積んでる本が来年の自分に影響与えるかも?と期待しつつ、この記事を終わりたいと思います。

ここまで読んでいただき、ありがとうございました!

salar

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