虎に翼128話(重遠の孫)

美位子「ねえ寅ちゃんさん。
もし勝てたら どうなるんですか？」

寅子「原判決が破棄されれば
恐らく執行猶予がついてあなたは
すぐ社会に戻ることができる」

美位子「でもそれって
いいんでしょうか。
私 人を殺したんですよ？
私あの時‥
ひもで締め上げた感覚が
今でも手に残ってるんです…
毎晩毎晩 夢に見て…
服役した方が
気が楽なんじゃないかって
ずっと考えて...」

寅子「何かしらの罪を
償いたいと思うことは
あなたの尊厳を全て奪って何度も あなたの心を殺してきた相手を 肯定してしまいかねない。
あなたができることは
生きてできる限りの幸せを
感じ続けることよ」

(寅ちゃん　はて？　
これ変だよ。
人を殺していいの？　悪いの？
美位子は「どうして人を
殺して許されるんですか？」
と聞いている。
「何かしらの罪を償いたい
と思うこと」を
否定して 押し殺すのですか？
そうではなく、
「できる限り幸せに生きる」
ことで、その思いが昇華していく。それが「罪を償う」ことなのよ❣️　と答えてやって欲しいな⁉︎)

　　　・・・・・

桂場「開廷します
主文　原判決を破棄する。
被告人を懲役2年6月に処する。
この裁判確定の日から3年間
右刑の執行を猶予する。
尊属殺に関する刑法200条は
普通殺に関する刑法199条
の法定刑に比べ著しく
差別的であり
憲法14条1項に違反して
無効である。
この見解に反する従来の判例はこれを変更する」

昭和25年の合憲判決から 23年
歴史が塗り替わった。

　　　・・・・・

寅子「家裁には家庭からも
社会からも学校からも
はじき出された子たちが
たくさんやって来ます。
独りぼっちの子たちの味方は
我々しかいない。
そういう気持ちで
分からなくても
まずは寄り添うんです」

豊谷「味方 寄り添う…
そういう曖味な言葉で
煙に巻かれても…」

寅子「曖昧？
これこそ子供たちが
欲していることですよ。
私たちは確かな
手応えを得ながら調査官と
日々 審判を行っております。

あなたたちは 何に手応えを
感じていらっしゃるの？

不毛なことは一旦やめて今日は 愛について語り合いませんか？」

汐見「愛！」
小橋「愛」
稲垣「愛」

一同「愛？」

寅子「フフ…そう 愛です。
子供たちへの愛にあふれた
血の通った話が私たちはしたい。
ねっ ライアンさん」

(本音を出し合える「家族会議」の方が、木で鼻を括ってカタチを論ずる「公的」会議より、はるかに上質で 実り豊かな事は明らかだ。
現在「公的会議」がそのようであるのは、男性主導によるものが大きい。その偏りを戻し「熟議民主主義」を実現するには、女性性の力が望まれる)

　　　・・・・・

美位子「寅ちゃんさん
お邪魔してます」
寅子「あら いらっしゃい」

美位子「来週 発とう
と思ってます 新潟に」

寅子「涼子様と玉ちゃんのお店に？
それは いいわね！」

美位子「東京は 知り合いも
想い出も多すぎるので。
人生に失敗したことがない人たちはかっこいいな」

優未「いや私は
世間から見たら失敗してるよ。
大学院 中退して
ふらふらしてるわけだから。
ねえ？」


寅子「いいえ！
美位子さんも優未も
人生を失敗なんてしていない。
優未…お母さんは
そうは思わないけれど
あなたがもし失敗したと
思っているならそれは
お母さんの育て方が悪かったせい。
お母さんのせい。
つまり何が言いたいかというと…
自分を責めてつらくなるくらいなら周りのせいにして楽になって。
ここまで頑張ってきた あなたたちにはその権利があるってこと！
だから失敗なんかじゃ
絶対にない！」

優未「ごめんなさい
お母さんって 昔から
す〜ぐ熱くなって
とんでもない方に
話を持っていくの」

美位子「いえ
すごくうれしいです。

寅ちゃんさんも。
さよなら」

寅子「また いつかどこかで」

　　　・・・・・

寅子「本当に
変なところムキになっちゃって嫌ね。
母としては いまだに
失敗ばかりな気がする。
根本的に向いてないのよね」

優未「やっぱり」

　　　・・・・・

「寅子が母として
失敗ばかりしているのは、
はるさんの育て方が悪かったせい？はるさんのせい？
はるさんのせいにして、
楽になろう？
ここまで頑張ってきた
私にはその権利がある…⁇⁉︎」
はて？寅ちゃん
だいぶ変じゃぁないですか⁇？
これでは、
子の因果は親のせい、
親の因果は爺婆(じじばば)のせい⁈

失敗は悪い事?
そんな事はない‼︎

自分で決めてやることは、
全部自分のせいと違いますか⁇？
自分のせいで上等
と思い定める事が　
〈安心〉なのでは
つまり
自分にベクトルを向ける
ということ。
自責ではないですよ
　　　　　　　　　　光