虎に翼127話(重遠の孫)
美雪「正直に答えたご褒美に質問してもいいですか?」
(対価のある世界。
美雪にとって、受け取るものは、いつも、「何か」の対価だった?)
「どうして人を殺しちゃいけないのか」
(誰が誰に、何を問うている?
優三の戦死?戦争?原爆?
美佐江の自死?美位子?死刑?
初めに 美佐江が問うた時、
彼女の心に開いていた穴は、
何だったのだろう。
戦争が開けた穴、
家庭が開けた穴、
優越=劣等感が開けた穴…
「自分」の欠如、欠落 )
寅子「今の質問のこと
おばあ様から聞いた?」
美雪「もしかして
母も同じ質問を?
そうなんだ…
お母さんも同じことを…」
(美雪は美佐江のマネをしている?
佐江子が美雪に、
美佐江を見ている?)
寅子「奪われた命は元に戻せない。死んだ相手とは 言葉を交わすことも触れ合うことも 何かを共有することも永久にできない。
だから人は生きることに 尊さを感じて、人を殺してはいけないと 本能で理解している。
それが長い間 考えてきた
私なりの答え。
理由が分からないから
やっていいじゃなくて
分からないからこそ
やらない奪う側にならない
努力をすべきと思う」
美雪「そんな乱暴な答えで
母は納得しますかね?」
(自己の欠如)
寅子「美雪さん 私は今
あなたの質問に答えています。
お母さんの話はしていません。
私の話を聞いて
あなたは どう思った?」
美雪「母の手帳を
ご覧になったんでしょう?
母も娘もほかの子たちとは違う。
異質で特別で手に負えない。
救うに値しない存在だと」
寅子「全く逆!
あなたもお母さんも 確かに特別。でも、それは全ての子供たちに言えること。
あなたたちは 異質でも
手に負えない子でもない。
手帳を読んで気付いた。
私は あなたのお母さんを
美佐江さんを恐ろしい存在と
勝手に思ってしまった。
そのことが過ちだった。
美佐江さんはとても頭はよかったけれどどこにでもいる女の子だったと思う」
美雪「どこにでもいる女の子が人を支配して操ろうなんて思いますか?」
寅子「でももう真実は分からない。(話を逸らした)
なぜなら私たちは美佐江さんを永遠に失ってしまったから。
私は美佐江さんに対して全てを間違えた。
もっと話をすべきだった。
彼女が分からないなら
黙って寄り添うべきだった。
一人の大人として
そうすべきだった。
ごめんなさい」
音羽「そんなの
きれい事がすぎます。
そこまで佐田判事が
背負うことじゃない」
寅子「そう。
あの時 私はそう思って線を
引いた。それが 巡り巡って
今 あなたが目の前にいる。
だからね 美雪さん私もう
こんなこと繰り返したくない。
あなたのことは諦めたくないの。
手帳に残された言葉の意味やお母さんをかばう理由を見いだそうとして傷を負わなくていい。
お母さんのこと 嫌いでも好きでもいい。
親にとらわれ 縛られ続ける必要はないの。
どんな あなたでいたいか
考えて教えてほしいの」
美雪「つまらない。
そんなのつまらない。
そんなの ありきたり!
そんな私じや駄目なんです!」
(欠乏感)
寅子「どんなあなたでも
私は何だっていい!
どんなあなたでも
どんなありきたりな話でも
聞くわ。だから…話しましょう。
何度でも」
寅子は美雪を試験観察とし
民間の施設で
しばらく生活させることに
なりました。
・・・・・
寅子「美雪さんこんにちは。
施設での暮らしは どうですか?」
美雪「居心地はいいです。
先生…私まだ あの施設にいてもいいですか?
おばあちゃん 私といると心が安まらないと思うんです。
お母さんを思い出し続けるのもかわいそうです。
だから一緒にいない方がいいのかなって」
寅子「理由は分かりました。
それであなたの本心は?
あなたは どうしたいの?」
美雪「私は…」
佐江子「おばあちゃんは
早く一緒に暮らしたい。
離れて暮らして
ほっとしたのは事実。
でもこの半年どんどん
面会の日が楽しみになった。
毎日頑張ってくれている姿が
伝わったから!」
美雪「おばあちゃん…
おばあちゃんと
一緒にいたいです」
寅子「あなたを不処分とします。
あなたは きちんと人生を
歩んでいけると判断しました」
・・・・・
寅子「やっぱり家裁も変わっていかなきゃいけない。
個人の力頼み じゃなくて組織の構造を変えて 人手を増やさないと駄目なのも確かだと
思うわ。
私たちみたいに 仕事に人生の全てをささげろと 強制するのも何だか違うしね。
だから そのあとの世代のことは音羽さんたちが決めれば
いいわ」
音羽「もっと効率よく 子供たちに深く寄り添えるやり方があるはず。それを私なりに
見つけていきますので」
寅子「すてき!フフフ」
そして昭和48年4月。最高裁大法廷の判決日がやって来ました。
・・・・・
「特別」とはなに?
劣等感の表徴?
光
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