【読書感想文】『もうあかんわ日記』
こんにちは。岸田奈美さんが以前noteで連載されていた『もうあかんわ日記』。リアルタイムで読んでいましたが、今回出版された本を読ませていただきました。37日間がよみがえり、最後には「ほんまに良かったなあ」と言いながらめちゃくちゃ元気を貰いました。
今回の週末noteはその読書記録です。よろしくどうぞ。
「わ」の良さについて語りたい
タイトルの「わ」が好き。「あかん」では言い切ってしまうから、まるで吹き出しのようなそれがいい感じにクッションになっている。「あかん」の類義語には「オワタ・もうだめだ・もう溜らん・もういや」などがある中で、関西弁の「もうあかんわ」がいい。「わ」の入っているこのタイトルが一番しっくりくる日記だった。
岸田さんの文章には独自の温度があると思う。
それは読者に「こんなことあってんちょっと聞いてくれる?」的な心の近さを感じさせる。
私達は「どうしたん?」と自然と聞くモードになって読んでいく。アクシデント満載な日常の中にユーモアを交えてアウトプットされた文章と近しいその雰囲気が肉まんみたいにあったかい。
繋がっていく点と点
あたりまえのことかもしれないけれど、今回読むほどにご縁の広がりを感じた。
一歩一歩進みながら振り返るとそこには困った時に聞ける人が増えている。ご近所さんなどに加えて、あの人に聞いてみようと電話したりコンタクトをとる相手が増えることはご自身のアクションの延長線上にあり自然とそうなったのだろう。引き寄せると言ったほうがいいほどの岸田さんの引力を感じた。
noteを書くと読んで下さる方がいる。そこから始まる世界の素晴らしさが具体的に日記から伝わってきた。近年のTV出演もその1つ。市井の読み手のおばちゃんからするとお声がかかり遠くへいってしまうように感じるけれど、noteに来ると変わらぬ文章になんだか安心する。
クリアせねばならない課題に出会う度に、思案しながらも一歩どころか十歩ずつ進む前向きな様子が37日間の『もうあかん日記』にはあった。そのエネルギーのかたまりが黄色い装丁にぴったりだった。
そして、パラリンピックへ
パラリンピック聖火ランナーにお母様が挑戦される様子も記録されていて、こちらも万感の思いで当時見守った。何より元気に参加されたことがほんまに良かった。弟さんなりの考えもよくわかった。ここが読んでいて知れて良かった。
以前拝見していた“灯を繋いだ後に花とともに映った家族写真”がまるで卒業式のよう。新たなステージに向かう岸田家の皆さんへ拍手を贈っている素敵な1枚になっていた。
そして、NHK東京パラリンピックの番組出演。noteの女神はシンデレラになっていた。自然なお話のおかげでパラスポーツを身近に感じて、観ていたこちらも大好きなスポーツが増えた。この出演は語り継ぎたい大きな出来事となったが、これはまだまだ長い岸田さんの旅の1コマ。「もうあかんわ」日記が終わって、あかんことは減って欲しいと願う。でもその先は続いていくから、noteを読むのが楽しみになる。
もう、つぎの一冊が待ち遠しい。
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日々子育てをしながら、ピンチは常にやってくる。
40日間の夏休み中も頻繁に「ママ喉乾いた」「ママお茶」と呼びかける次女に「ママはお茶じゃない」と言いながら中断する家事に心折れそうになっていました。うん結構あぶない夏だったわ。
この日記を読んでから、とことんピンチな時に無意識にこう考えてる自分がいたんです。
岸田さんならどうするか。
そうするとね、一旦受け止めることができる。
まあ1個ずつやっていこうと思えるんです。
やるしかないかと腰を上げ腕をまくるんです。
「もうあかんわ」っていいながら。
お読みいただきありがとうございました。
桜